時価総額世界3位 快進撃を続けるBYD

 中国電気自動車大手のBYD(1211)は8日、深圳で年次株主総会を開き、株主の他、メディアやアナリスト数百人が殺到し、立席も埋まるほど同社史上参加人数最多の株主総会(王伝福会長)だったと言います。関心の高さの裏付けでしょうか、翌9日の株式市場で同社A株の株価は史上最高値、H株の株価も取引時間中に史上最高値に迫るまで上昇しました。

 IT系株が暴落している中、BYDの株価は堅調に推移し、6月7日現在、1271億6千万ドルで、テスラの7405億8千万ドル、トヨタの2275億2千万ドルに次ぎ、フォルクスワーゲンを抑えて自動車業界時価総額世界3位に返り咲きを果たしました。昨年11月、同社時価総額は初めて世界3位にランクインしたが、3月の中国株の暴落で一旦後退し、この度の株価の上昇で再度3位に躍り出て、時価総額上位10位中、唯一の中国メーカーとなったのです。
 同社業績が幾つも記録を塗り替えたことが株価の上昇を支えていると言えます。
 BYDは4月3日、同社公式サイトで化石燃料車の完成車生産を完全に中止し、新エネルギー車(NEV)に専念すると公表しました。
 最新の発表によると、4月のNEV(電気自動車とプラグインハイブリッド車を含む)の販売台数は10万6千台で、同社単月生産台数の記録を更新したほか、世界NEV販売台数の一位も飾ったのです。
 また5月には、さらに4月より8.4%増の11万4900台を販売し、前年同月比250%伸びており、世界大手のテスラの販売台数3万2200台より8万台以上多いことが明らかになり、1~5月の累計販売台数は50万7300台で、伸び率は348%、コロナ禍でも快進撃を続けています。
 予約販売について、現在60万台の注文残があり、今後5~6カ月で納車する計画であることが株主総会で明らかにされました。
 同社21年度の売上高は33.93%増の1124億8900万元だったが、自動車業務の粗利率は7.81ポイント減の17.39%に止まっています。半導体不足に伴うチップの値上がりやバッテリーのコスト増、研究開発費の投入が増えていることについて市場の関心が高まっているが、株主総会で王伝福会長は、企業として営利のみならず社会的責任も求められているとして、現在の社員数は42万人だが、新卒者を予定の1万人から最大3万人を募集し、社会の就職難の解決に尽力するほか、人材を蓄積し、年末までの社員数を50万人まで拡大することを明らかにし、またコストがよりかかる600キロ以上の航続距離よりも安全性をより重視する方向で開発を進めていると理解を求めました。
 株価急騰の背後には、株主総会後の同社のある発表という一因もあると指摘されます。 <次回へ続く>

 

 

 

 

 

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