李嘉誠が去ったが、ジャック・マーは来た

今日、7月1日、香港の中国返還並びに香港特別行政区設立記念日として香港市場はお休みです。 

6月の第11回京華投資視察団が行われた18日、香港では行政長官の選出方法(選挙制度改革案)を巡る立法会議員による投票が行われました。その結果、改革案について28人の立法会議員の反対で否決されましたが、上海到着後、宿泊する花園飯店に届いた翌日の香港の新聞を見てみますと、「普通選挙の夢破れ 反対派は千古の罪人に」と、大きな見出しで反対票を入れた議員の名前入りで取上げています。 

 かれこれ2年間で纏められた香港の有権者500万人に一人一票という改革案は否決されたことで、一件落着した意義が否決よりも大きいかと考えます。昨年9月末に起きた街を占拠したデモなども元を言えば、この選挙改革法案に対するもので、否決でも可決でも本件が終わったことで、これ以上デモする理由もなくなりますし、何しろ、正常な日常に戻らない限り、経済活動も影響を受け香港の信頼も失墜させられます。 

そもそも香港の現状を見てみますと、デモの参加者は学生のほか、社会に対して不満を持つ市民が多かったと言われます。根底にあるのは不動産価格の高騰で、住む家も買えないし理想の仕事にもありつけないのが遠因だと言われます。香港の中国返還になった1997年、香港住民による香港の自治が謳われ、イギリス資本に取って代わり、地元資本による不動産など大掛かりな買収が行われました。政情を安定させるため、中央政府もこれを黙認し、更にこうした地元の有力者を行政のトップに据えるなど、不動産大手、長江実業や新鴻基(サンホンカイ)、新世界発展、恒基地産(ヘンダーソンランド)などこの18年間で大きく成長した反面、行政の中枢にあるのもこれら有力者の関係者で政策的にもこれら業者に傾斜し、土地や不動産価格は庶民の手の及ばないところまで高騰しています。 

その一例に、初代長官の董建華氏は返還後、ウサギ小屋で喘いでいる香港住民にそれまで毎年20000件だったアパートを85000件まで増やし、10年後に70%の香港住民にマイホームの夢を実現させようと言う計画を発表しましたが、業者の働きかけでしょうか、2003年計画の中止がやむなく発表されました。香港の産業もそれからと言うもの、既存の海運業のほか、不動産、金融、サービスが主流となり、不動産の高騰が今日まで続いています。 

一代で財を築き、アジア№1の大富豪、李嘉誠氏は2年位前から内陸の不動産を売却し、今年さらに長江と和記を合併させて本社登録地をケイマン諸島に移したりするなど内陸、香港離れの行動を示しています。 

一方、中国資本の企業が香港への進出を加速しています。5月証券業務の瑞東集団を傘下に収めたアリババグループは昨年来香港上場の会社5社をすでに買収または資本参加しています。地元紙は「李嘉誠は去ったが、ジャック・マーが来た」と大々的に報道しています。 

香港の中国返還はきょうで18年目を迎えます。

中国では18歳は成人になります。

香港では、イギリス資本、香港の華人資本から内陸資本に取って代わろうとしています。中国投資の際このことを頭の片隅に入れてほしいと考えます。

 

 

 

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