為替も株式市場も空売りの試練

昨日、都内で恒例の中国勉強会を開催しました。恵比寿のモナリザから銀座の天厨菜館へ会場を移してからの開催は今回3回目となりますが、モナリザの時から参加され会場変更後初参加の方からは、思いのほか料理は美味しかったとご感想を頂き、私も安どしています。

 

中国は10月1日から長い連休(国慶節のゴールデンウィーク)に入り、取引こそできないが、大きな出来事が相次いでいます。

 

その一つは、人民元のSDR入りです。SDR(Special Drawing Rights)は国際通貨基金(IMF)の特別引出権のことで、加盟180カ国と地域が将来起こりうるだろうと思われる金融危機対応の際、お互い通貨を融通しあうために作られたシステム(仮想通貨)のことです。

 

SDR通貨バスケットは、これまで米㌦、ユーロ、円、ボンドの四通貨で構成されましたが、10月1日から人民元が5番目の通貨として加わり、バスケットでの割合も、米㌦の41.7%、ユーロの30.93%に次ぎ、10.92%を占め、円の8.33%とボンドの8.09%を抑えて3位となっています。

 

SDRは備蓄通貨で実際に使われるものではありませんが、しかし構成通貨になることはIMFからのお墨付きをもらったことに等しく国際通貨と認められたになります。

 

SDR入りには、国際貿易(2013年から米国に変わり世界一の貿易国に)のほか、通貨の自由兌換と為替の自由化も条件ですが、これをクリアするために中央銀行も神経を尖らせています。

というのも、昨年8月、中央銀は人民元の切下げ(8月11日)を発表して以来、GDP伸び率の減速とともに、人民元は今後も元安になるという憶測が起こり、今年の年初から「中国売り」の空売り論者が登場し、元売りを仕掛けていました。

これに対抗して中央銀はドル売り元買いの介入を繰り返し、元の為替相場を乱高下させることなく錨のごとく安定させたのですが、同じく「介入」と思わせる場面が9月にも起きています。

 

9月15日、香港インターバンク間の翌日もの人民元の貸出金利(Hibor)は7.95%から19日の23.68%に跳ね上がったのです。1億元を借りて一日後に返したとしても2300万元をプラスしなければならなくなります。

なぜこのようなことが起こるかというと、市場に流通している人民元を無くせば、空売りする側が調達する元のコスト(金利)が高騰し、空売りが封じられると見られているからです。

 

連休中は市場も当然取引はありませんが、オフショア市場の香港では、元の為替は昨日(6日)、取引時間内に一時1ドル=6.7002という7月20日以来の元安水準になり、ヘッジファンドなど空売りを仕掛けていることが伺えます。

 

SDR入りは元の国際化を意味するもので、香港を含む中国市場にますます多くの投資家が参入してくることが予想されます。

11月には、「深港通」の開通も控えています。内陸市場と香港市場が相互直接の取引ができるようになり、オープンな市場になることは間違いありません。為替だけではなく、株式市場も空売りの試練をますます受けることになるでしょう。

 

 

<締切のご案内>

 

第18回投資視察団は11月20日から26日までの6泊7日で行います。

大連、瀋陽、天津、北京の4都市を訪問します。久々に企業を見てみたい方はぜひご参加ください。

締切は迫っております。ご検討中の方は早めに声をおかけ下さい。

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