爆買いよりも文化の体験を

今年のカレンダーの並びで、中国では10日間お休みのところも出ています。大型連休のことをすべてゴールデンウィークという中国。年には少なくとも2回(国慶節と春節)はゴールデンウィークがあって豊かになったことも重なって海外旅行が今まさにブームの最中にあります。

 

中国民用航空局の李局長は地元メディアの取材に対して、中国では現在663本の国際路線を開通しているが、その半分強の369本は2015年に開通したものだとこのほど披露しました。

 

セーシェル(Sesel)やフィジー(Fiji)、モーリシャス(Mauritius)など数年前までは、地図のどこにあるかもわからない国は、現在中国人観光客がその国を訪れた外国人観光客の上位3位に入っています。

 

昨年、中国人の海外渡航者数は1億2000万人。その内日本を訪れたのは499万人。今年は8月まで、すでに450万に超え、年間を通じて700万に達するだろうと見込まれています。

 

観光客と言えば、「爆買い」!2015年の中国人訪日観光客の平均支出は28万4000円。その内、ショッピングには平均16万円を、訪日外国人平均の7万4000円を大きく上回って消費にお金を使っています。

 

銀座や秋葉原に店舗を展開している大型免税店、ラオックスは2015年9月までの3四半期決算で売上高は前年比120%増の725億円、純利益は1280%増の71億円に上り、同社株価も大きく上昇しましたが、その大半は中国人観光客による貢献だと言えることでしょう。

 

しかし、中国人による爆買いは、訪日人数の減少傾向とともに変化も生じています。衝動買いと見られる爆買いは少なくなり、「理性的になった」と中国国家旅游局日本事務所の担当者が分析しています。

 

そもそも、爆買いは三つの要因が重なった結果だと考えられます。

 

その一つは、可処分所得が増え海外旅行に行きたいというニーズが高まる中、日本政府は適宜ビザ要件を緩和したこと。報道でしか知らない「近くて遠い」日本をぜひこの目で見てみたいというのがきっかけで、それが現在の個人旅行にも繋がったと考えられます。

 

そしてもう一つは、円安で日本での買い物は安くなったこと。2014年8月以降、1ドル100円台にあった円がその年の12月120円まで円安となり、単純計算でも20%の割引同然で、何を見ても安いと見られ、それが爆買いに繋がったと言えます。

 

最後に、日本製商品の安全・安心が観光客の財布のひもを緩めたこと。模倣品や粗悪品、期限切れ商品(食品)が横行し、特に子供用粉ミルクに有害成分が検出されたことで国内商品に不信感が広がり、安心安全がむしろ爆買いの最大の原因ではないかと考えます。

 

3番目の原因について、私たちが企業訪問でも重点的に確認しまた質問する事項で、経済の構造転換のプロセスで、当面は国内市場をターゲットにするのでしょうが、将来的にどれだけ国際市場でも通用する商品が作れるのか、それがまたその企業がどれだけの成長空間があるのかを見極める基準の一つにしています。

 

爆買いが少なくなる日は中国企業がそれなりに成長したことの裏返しでもあり、爆買いよりも日本の文化を体験するツアーを増やしてほしいものです。

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