試練を乗り越えたセカンド上場 「ビリビリ」

 米上場の中国概念株(チャイナコンセプトストック)が不運続きです。通信大手3社(中国電信、中国移動、中国聯通)の上場廃止を巡り、NY証取の対応も二転三転し、混乱の中、トランプ大統領がアリババの支付宝(アリペイ)やテンセントの微信支付(WeChatペイ)を含む中国系8つのアプリとの取引を禁止する大統領令に5日署名しました。折しも翌日に米の次期大統領が確定になり、中国概念株を巡る対立が次期大統領の就任でさらにエスカレートするかそれとも緩和されるか、注目に値することと考えます。
 米市場での数々の試練を乗り越えたからこそ、香港市場に回帰(セカンド上場)したアリババ(9988)や京東(9618)、網易(9999)などが内外(特に内陸)からの資本の支持を受け、株価が回帰後、堅調に推移しています。そのような流れの中で、市場では上場申請書類をまもなく香港証取に提出すると取りざたされている会社があります。

 中国の動画配信サービス会社、嗶哩嗶哩「ビリビリ(米証券コード:BILI)」です。
 「ソニーが応援する動画配信会社」、昨年4月27日のコラムで取り上げていますが、覚えていらっしゃいますか。「ビリビリは2018年3月にナスダックに上場した中国概念株(チャイナコンセプトストック)の新鋭企業で、ソニーは米国子会社を通じて発行済み株式の4.98%を取得してテンセント、アリババに続き、同社6番目の大株主となったのです」とソニーが同社に4億ドル(約430億円)を出資したことを紹介しています。
 ビリビリの公募価格は11.5米ドルで、公開初日は約15%安の9.8ドル、公募価格をあっさりと割り切ったのです。トランプ大統領が中国からの輸入商品に対して600億ドルの関税をかけるという大統領令に署名し、貿易戦が始まった直後の上場で、タイミングが悪かったと市場で見られていますが、その後、株価は反転をはじめ、このコラムで取り上げた昨年4月後半は約27ドル、そして昨日(7日)のナスダックでの終値は111.40ドルと史上最高値を更新し、上場3年未満で株価は約10倍上昇しています。
 同社香港市場でのセカンド上場についての噂は昨年10月あたりからすでに流されていますが、当時は香港市場で10~15億ドルを調達すると憶測されていました。株価の急騰で調達資金は今度20億ドルに引き上げられていると米ニュースチャンネルCNBCが今月5日伝えています。
 同社はかつてのアリババや京東、網易などもそうだったように、香港でのセカンド上場について現時点でノーコメントを貫いていますが、米中対立の混沌化と香港市場の魅力などを考えると、香港回帰も早晩のことと考えます。
 ビリビリはどのような会社で、先行きの見通しは如何なものでしょうか。

 

 

 

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