高齢化にもビジネスチャンスが

自動車専用ガラス生産の福耀ガラス(3606)は
10月米オハイオ州の現地工場を立ち上げました。
iPhoneの組立工場を抱える富士康科技(フォックスコン)も
中国での30万人雇用のラインをアメリカに
移転する計画があることが噂されていましたが、
今月10日、移転計画についてアメリカ当局と
協議中だと言うことが明らかになりました。

 

両社工場の新設、移転計画には、サプライヤー、
エンドユーザー、税金など様々な要因がありますが、
中国の人件費高騰が共通した理由の一つとして
挙げられています。

 

最新の統計(2015年)によると、
中国の総人口は13億7400万人。
その内60歳以上の人口は2億2000万人で、
割合にして16.1%を占めることになります。
更に、65歳以上の高齢者人口は1億4300万人で
全人口の10.5%を占めていることが
明らかになっています。

 

国際的には、全人口に占める60歳以上の割合が10%、
または65歳以上の割合が7%となると、
高齢化社会と称されるようになりますが、
中国の場合どれもこれを優に超えています。

 

中国の人口出生率は1990年以降年々低下し、
2000年には1.22だったのが、2010年には1.18、
2011年には1.04、2012年には1.26と
若干戻っていますが、
2013年にはまた1.24まで舞い戻っています。

 

一人っ子政策は1971年に発表され、
1970年代後半、二人目を出産した場合、
厳罰という強化策が取られていました。
お蔭で少子化が進み、1982年、
0~14歳までの子供人口は
全人口の33.6%を占める3億4000万人だったのが、
2010年には約1億人も少ない、2億2700万人まで減少し、
全人口のわずか16.5%、世界平均の27%を
大きく割り切り、少子高齢化社会に
突入するようになっています。

 

中国の団塊の世代は1960年から
1970年代にかけての約10年間に生まれた人で、
経済の高度成長を支えた人たちでもあったのです。
団塊の世代とその子供が同時に不動産に対する
需要があり、その需要でこの10数年の不動産価格の
高騰をもたらしたと言っても過言ではありません。

 

日本では、工事現場や製造現場で人手不足で、
外国人の実習生や留学生を募集して
やりくりしていますが、同じようなことが
北京や上海、深センなど大都市でも起きています。
保育園の絶対数不足もあって、
家事手伝いのパートさんの需要が旺盛で、
パートの収入は大学新卒のサラリーの
倍以上にもなると言うことが起きています。

 

人口構造の変化で企業の売上高にも影響しています。
最近話題のエアコン最大手の格力電器は
ここ20年、初めて減収減益に転落しましたが、
葬儀屋の福寿園国際(1448)は増収増益を続けています。

不動産の万科企業は、老人ホーム向け
不動産の開発を表明したのを皮切りに、
多くの不動産企業も我先にと参入しています。

 

超高齢化は経済成長の足を引っ張りますが、

そのプロセスにはビジネスチャンスもあるものなんですね。

 

 

 

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