2016年 機関投資家はこう見る

「2016年の展望」について前回、マクロ的視点で成長の可能性について触れました。年末年始に際して、2016年の大胆予測など機関投資家も我先にと今年の中国経済や株式市場の見通しに関するレポートを発表しています。

今日はその内の一つ、中国有数の投資銀行、中国国際金融股フェン有限公司のレポートをご紹介しましょう。

同レポートはまず中国経済のリスクについて、二つの指標に注目するよう注意を喚起しています。一つ目は銀行の不良債権、そしてもう一つは地方債務の問題です。いずれも対処を間違えると、金融システムそのものに悪影響――中国版金融危機が引き起こされかねないからです。

今年は申年で、これに因んで株式市場は先進国が用いるブル(Bull)やベア(Bear)ではなく、今年はサル相場――サルのように活発に飛び上がったり、また下がったりする――乱高下の相場になるだろうとして次のような展望が立てられています。(以下、レポートの要約です)

その一、A株市場は一方的に上昇することがなく、大きく変動する相場となることだろう。しかし中国経済は成長途中の底が確認され、株式市場は長期的には悲観することはないだろう。

その二、大型株の勝ちで小型株は負けることだろう。2012年からA株では、大型株と小型株が交替で勝ち負けを繰り返してきた。2015年は小型株の勝ちだったので、PERの評価や登録制への移行、環境監視の厳格化など諸要因を考慮する際、今年は小型株の成長よりも大型株の価値(バリュー)が勝つだろう。

その三、株式は債券に勝ると予測する。債券の下げ止まりが見え始め、収益率の下げ幅は2015年より小さくなると見るが、株式市場は乱高下を繰り返しても債券市場を勝るだろう。

その四、H株はA株を勝ると見る。2015年、H株はA株に大きく引き離された。AHの価格差も史上最高に近い水準まで来ている。H株を巡る環境は段階的に依然厳しいが、しかし2016年のリターンは悪くないと考える。内陸の経済が安定し、就職率及び不良債権などの指標の好転に伴い、H株は段階的に大幅な上昇もあり得るだろう。

その五、商品価格は大きく反転するだろう。2010年から始まった調整と抑制などにより、2016年供給が縮小し、不動産の在庫消化も進展を見せ、商品調整の周期も終盤を迎え、2016年には、反転を迎えるだろう。ただその時期に注目が必要である。

その六、深セン・香港市場直接取引が上半期にも開始し、中国(資本)市場の開放は迂回しながら前進することだろう。

その七、国有資産管理プラットホームがつくられ、空念仏の国有企業の改革が本格的に始動するだろう。

その八、戸籍と土地改革がスタートするだろう。

その九、銀行の不良債権処理に政府が本格的に着手するだろう

その十、外部環境が再び不安に向かい、米の利上げも経済の好転を意味するものではなく、世界の政治経済分野のリスクは依然大きく、主要経済国の経済予想も予期にかなわず、地政学的突発な事件なども市場の波乱を引き起こすだろう

中国国際金融股フェン有限公司のアナリストは経済や株式市場についてこのように見ています。果たしてそのようになるのか、いずれこれを検証する日が来るでしょう。

 

 

 

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