C2Mは次の黄金なる10年をつくる

中国の国会は全人代(全国人民代表大会――衆院相当)と政協(政治協商会議――参院相当)に分かれます。政協は全人代より二日間ほど先に開催し、また全人代より先に閉会するのですが、その全人代も今日(15日)の李克強首相の記者会見をもって年に一度の通常国会を閉会します。 

議員の呼称も全人代では「代表」、政協では「委員」と言います。「代表」も「委員」も建前上は「選出」されるのですが、各界に振り分けて有名人が選出されるのが一般的のようです。上場企業の経営者も「代表」や「委員」に選出される場合が多いのですが、復星国際(0656)や復星医薬(2196)など上場会社を傘下にある復星集団の郭広昌会長は「政協委員」なのです。 

全人代や政協に出席される代表や委員は、それぞれの立場で「提案」をするのですが、郭会長の今年の提案は「C2MCustomer-to-Maker)」です。

復星集団として初めてC2Mを打ち出したのは2016年度の年次総会においてでした。

従来のC2MとはCustomer-to-Manufactoryで、製造業として顧客のニーズに応えるべきという漠然とした考え方でしたが、復星集団はこれをCustomer-to-Makerまで具体化し、顧客が個々のメーカーの製品、サービス、内容の全プロセスに参加するという概念です。これにより、中間の流通プロセスを縮小できるだけではなく、顧客のニーズが直接メーカーとつなぐことができるので、移動通信の時代には、C2Mが求められているというのです。

そのような視点で、復星集団もこれまで、洋服、医療、エンターテインメントなどの企業にも実際投資をしてきています。

郭会長の話の続きです。

「インターネットとモバイル通信が産業に対して大きく浸透していたと見られるが、まだまだ表層的だと見ている。BATBADU、アリババ、テンセント)にしても同じことだ。今になってやっとより深層への浸透を始めようとしている。インターネットをスマート製造、全産業チェーン、サプライチェーンの改善から、また柔軟化の生産から最終消費者までをつなぐスマート経済、スマート産業チェーンの構築まで浸透できれば中国経済の効率の改善と向上により深刻な影響を与えることになる」

「中国経済は過去の長い期間物不足の時代が続いた。製品に販売のプレッシャーがなく、クオリティ、プライス、チャンネルなどすべて問題ではなかった。しかし、モノがあふれる時代になると、大量の製品には新しい販路が必要となる。そこに生まれたのはEコマースだが、それがさらに進むと、個性化した商品とサービスが求められるようになってきた。特に若い世代には個性化したニーズが爆発的に生まれるだろう。こうしたニーズに対応できるのはC2Mしかない。ここには大きなビジネスチャンスがあると考える」とC2Mに明るい将来があることの見解を述べています。 

同社は保険、健康、レジャーを3本柱として投資を行ってきました。裕福になってきた中間層狙いの投資方針で、日本の高度成長のプロセスを参照すれば、この方針も時代の流れではないかと感じます。

中国勉強会のお知らせ
次回の中国勉強会は4月6日(木)に開催。羅欣薬業TOB後の動きや視察団で訪問するその他の企業について勉強会でご報告の予定。
なお、勉強会の会場は表参道の近くにあるフランス料理店、レ・クリスタリーヌに変更した。
ご関心のある方はどうぞご参加ください。

 

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