IT業界も構造転換

北京到着初日の快晴と打って変わって二日目は朝から小雨がぱらついていました。6月は春先に種まきした農産物が成長する時期で「春雨貴如油」(春雨は油のごとく貴いものだ)という諺があるくらいで、この時期の雨が国の台所、農家にとって何より貴重なものです。

おかげで気温は初日の32度から25度まで下がり、清新な空気を吸いながら企業視察に向かいました。午前中、滞在のホテルニューオータニ(長富宮)飯店から車で20分もかからなかった「中国通信服務」を訪問した後、昼食を挟んで北京のシリコン・バレーとも言われる北西部にある中関村に向かいました。

中関村ソフトウエアパークという上地エリアにある「神州控股」(0861)に、アポイントの15時を30分ほど前に到着したので、本社ビル(新社屋)一階ロビーにある小奇麗な喫茶コーナーで全員小休憩した後、15時丁度、同社戦略分析部の孫総経理が迎えに来てもらい反対側同社ショールームまで案内してもらって、早速の同社の事業内容に関する展示コーナーで動画やパネルを見ながら解説してもらいました。

「神州控股」は2000年にパソコン最大手のレノボグループ(0992)からスピンオフして翌年に香港に上場したインターネットサービスの会社です。パソコン販売の最盛期で、自社ブランドのPC本体や部品、海外ブランドの販売をメインな事業とし、最盛時には13000社のブランドの代理店を引受け、ハードウエアの販売で最高700億元の売上高を記録しました。

2006年からソフトウエア開発に参入し、政府や企業、団体向けシステムソリューションサービスをはじめ、10年間試行錯誤し、ソフトの開発に自信を持つようにに至り、2015年4月に、ハードウエア代理店業務を、創業者で郭為現董事長とA株市場(深セン)上場の深信泰豊(000034)に50億香港ドルで売却し、売却益の75%を既存株主に特別配当として一株当たり3.2香港ドルで還元し、同業務に見切りをつけ、ソフトウエアの開発に「構造転換」の舵を切ったのです。

しかし、ソフトウエアだけで食っていけるのか、同社訪問までは疑問に思ったのですが、現在の運用先に、スマートシティ(昨年までは42都市、今年は70都市まで拡大予定)のほか、人工衛星や市役所市民サービスプラットホーム、金融、医療、農業、世界人口予測(一人っ子政策の転換に同社人口予測システムが裏で支え、そのシステムを中国政府から世界保健機構――WHOに推奨したという)、通信などの多分野に及び、その可能性は無限大にもなることを説明され、事業展望に思わず頷きたくなるのですが、会議室へ移動した後の説明会で参加者の皆様から厳しい質問が相次いだのです。


神州控股見学中(2016.06.13)

 

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