「金融リスクと言う観点で、過度の金融化問題に注視すべきだ。全国的に見ても過度の金融化の兆しと傾向が出ている」
18日北京で開かれた中国発展ハイレベルフォーラム(国務院発展研究センター主催)で中国工商銀行(1398)の易会満董事長はこのように警鐘を鳴らした。
銀行業の貸借対照表から見て経常利益や自己資本、引当金比率などの指標は世界の銀行と比較しても健全的で金融システムリスク発生の土台はないとした上で、過度の金融化は金融システムの脆弱化を作ってしまう可能性があると分析し、過度の金融化の現象として次のように指摘した。
一つ、GDPに占める金融の割合の伸びが早すぎること。2000~05年までの割合は4.4%だったのに対して、現在8.3%まで上昇した。
一つ、社会全体が金融業を開業していること。新金融や準金融など様々だが、ライセンスがあったりなかったり、オンラインとオフライン、債権型や株式型、専門的と副業的などこれまで見たことのない金融業態になってきたこと。
一つ、金融機関内部での資金循環が一部に行われ、実業界には資金が流されていないこと。同業融資や理財商品、レバレッジなどB/Sを複雑にし、銀行の利益を水増しにし、実体経済の資金コストを高めたこと。
一つ、多くの企業も金融業に進出し、その合理性以上に、金融に依存しすぎたり、金融のバーチャル化、投機化という結果になりがちで、企業文化の異変や職人意識の育成、管理や技術のイノベーションなどにマイナス要因を作ってしまう可能性がある、としている。(テンセント証券)