北京滞在の約1週間に、高速鉄道や地下鉄も利用し、インフラのデジタル化進行に驚きを隠せませんでした。新幹線の乗車券など今でこそ自動販売機で購入できますが、一昔前まではみどりの窓口まで足を運ばなければなりませんでした。中国鉄道省が運営する12306というアプリで、誰でも簡単に全国行きの高速鉄道の乗車券を予約し、同時に決済できて予約時に使った身分証明書を改札で「タッチアンドゴー」で乗車できるようになったのです。14億人も同時にアクセスしたらサーバーはバンクするのではとつい素人的に心配になってきます。
北京の地下鉄改札システムは香港の地下鉄とまったく同じシステムを採用し、乗車券も「オクトパス」と同じようなカード「一卡通(Yikatong)という」が購入でき、昔はどんなに遠くても同じ運賃だったのが、距離に応じて料金が変わるシステムになっています。そこに不慣れな外国からの観光客が海外発行のクレジットカードで直接タッチするだけ乗車できるようになったのは北京を発つ前日のことだったので、体験こそ間に合わなかったが、デジタル化がどんどん進んでいることは間違いありません。
ところが、北京入りの三日目、携帯電話の実名制登録など実務手続きを終了した後、コーヒーが飲みたくてちょうど近くに例の「瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)」のお店があって入りました。コーヒー受取りのカウンターがあるが、レジはなく、店員は「掃碼買単」と言ってQRコードの立て看板の方を指差してスキャンして注文してと指示してきます。現金を受け取ってくれないから仕方なく実名制登録を済ましたばかりのスマホでスキャンするが、しかし3分、5分、10分となかなか注文画面が現れないのでとうとう諦めて店をでてしまったのです。1回だけなら操作ミスやら電波が悪いなど自分を納得させるが、今度高速鉄道の待合室でスタバとマクドナルドのお店があったのでコーヒーだけでもと同じようにQRコードの注文だが、時間ギリギリでも注文にたどり着かず、そうこうするうち、周りに長蛇の列が並び、ついに諦めてしまったのです。
その後、長年お付き合いの友人と会い、近況などお互い報告した後、科創板上場の企業から、デジタル系の日本の会社とタイアップまたは買収する意向があるが、紹介してくれないかとの話しに及び、具体的には決済システムやスキャン機器、オーダーシステム、チャージシステムなどのソフト系で、先進的技術を保有するスタートアップや上場企業も含めて提携する意向があれば日本に出向いて商談したいというのです。
高速鉄道の12306のような国が主導する超大型のインフラが凡そデジタル化を実現しているが、個々の事業者に至っては私の実体験からしてもまだ改善の余地が大きいなと、友人からの依頼から見てもそのことが良くわかりました。
日本のレストランチェーンなどスマホオーダーが増えてきています。そのようなシステムを開発するソフトの会社に繋がりのある方はぜひ声をお掛けください。円安の今、中国の会社から見て買収のチャンスなのかもしれません。