大学教育の有料化は時代の流れ 中国教育集団

 中国の大学教育は1989年までは無料でした。同年入学の学生から授業料を象徴的に徴収するようになったので、教育の市場化元年とも位置付けられています。しかし本格的に授業料を全大学の新入生から徴収するようになったのは1997年からだと言われるので、それから25年以上経って大学教育の有料化が当たり前だという認識はやっと浸透してきたと言えそうです。

 大学教育の有料化があって初めて民間教育も成り立つわけですが、中国初の「民間教育促進法」は2002年12月に全人代(国会)で採択され、民間教育の正当性が法的に認められたのです。同法律の制定に当時全人代代表(国会議員)だった同社創業者の于果氏は民間教育業界の代表として加わったとHPで紹介されています。共同創業者の謝氏と同様、現在も中国民間教育協会の副会長を務めています。
 現在の大学の学費はどれくらいあるのか、大学を出て5年くらいの後輩に確認すると、学部生は凡そ5千元(約10万円)、院生だと凡そ8千元(約16万円)だというので、日米の大学学費と比べると断然に安いが、国民所得から見ると、妥当な額かと考えられます。
 民間教育の運営経費は約9割が学費で賄っているので、中国教育集団(0839)はどれぐらい学費を徴収しているのか、調べてみると、大学4年の学部生の場合、年間1万5千~1万6千元(約30~32万円~)と出ているので、これで同社上半期売上高もなんとなく合点がいく想いをしました。
 今年4月26日に発表した上半期(23年9月~24年2月)決算によると、売上高は18.3%増の32億8400万元、調整後純利益は10.2%増の12億1700万元、中間期配当に現金0.1877元を実施(7月に付与済み)するという増収増益の内容だったのです。
 2月末の在校学生数は約30万人で、一人当たり1万5千元で計算して約45億元になり、寮や宿舎その他の雑費も入れると、通期売上高60億元超もありうるだろうと推測し、安定した「いい商売」だなと思いました。
 さて、国(公)立大学を上回る授業料でもこれだけの学生数が集まっているのにはそれだけの理由があると思うのは当然のことですが、一つは学力の問題で一流大学には点数が届かなかったこと、もう一つは卒業生の進路で、とにかく卒業してすぐにでも就職したい、または手に職を持って起業したいと思う人が増えていることだろうと推測できます。
 同社卒業生の就職率ですが、本科と専門学校を合わせますと、約95%に達すると発表されているので、普通大学新卒者の平均就職率77.5%(調査会社、フロスト&サリバン発表)を大きく上回り、就職難の現状ではかなり魅力があるのではないかと考えられます。
 一方、同社は2017年の上場以来、22年の中間期無配のほか、18年期末から、毎年2回(中間期と期末)の配当を続けており、直近の配当利回り率は6%を超え、配当比率は45%に達します。
 長期的観点で追跡してもいい銘柄ではないかと考えます。

 

 

 

 

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