社会保障基金(年金)の株式投資解禁や中央銀による金利と準備率同時引下げなど相次ぐ「刺激策」で中国本土市場はここに来て落着きを取り戻しつつあります。しかし、会社の事情で個別銘柄に至っては、相変わらず乱高下を繰り返す企業もあります。
かつてAH同時上場で価格差が一番大きい株として注目されていた、自動車部品製造の「浙江世宝」は3ヶ月ほど前買収計画中だということで、取引停止にしていた。本日買収案件を白紙に戻すと公告を発表して取引を再開しましたが、前場終了間際で45%の大暴落となりました。
また、中国民生投資有限公司の傘下に入ると噂され、取引停止の前、株価が6倍も上昇した「七星購物」は、取引停止前の株価の89.89%を割引して増資後の株を中国民生投資有限公司に譲渡すると発表して本日取引再開しました。凡そ90%も割引増資の同社株は投資家に敬遠され、同社も前場では42%ほど暴落しています。
中国の国有企業は改革の渦中に、また民間企業は再編と成長の嵐の中にあります。中国経済の難題は「イノベーションよりも、改革にある」と言っても過言ではありません。国有企業改革も「概念株」の一つとして注目され、企業再編を含む改革案が発表される度に企業の株価も上がっていました。改革とは企業が成長する足枷を外すことで、企業本来のイノベーションよりも改革は大きな意味合いを持っています。
このように中国企業と言っても様々な形態があり、これに投資する際、個人のスタンスを予め決めることが何より重要となってきます。
「中国株エクスプレス」を6月から発信していますが、あくまでも企業の内容紹介に留まっています。個別銘柄について長期投資だ、または短期投資だとは発信者として言えない立場にあります。しかしながら、環境銘柄や消費銘柄、または投資関連の会社は内容さえよければ、長期投資の対象で、今回の暴落の場面では、何回か押し目買いのチャンスがありました。
例えば、前期最終回で、「北控水務」の会社訪問の様子を取り上げようとしていますが、この会社は初回訪問の際、株価は1.8香港㌦くらいだったと思います。しばらく横ばいが続いた同社株価はその後ほぼ1年に1㌦くらいのペースで上昇し、現在5ドル後半で動いています。質疑応答の内容を確認し、今後も同じ伸び率で成長ができると判断されれば長期投資の対象になりますし、物足りないと判断されれば投資対象から外すことを決めれば良いと考えます。
明日の気温は何度になるか当てることは難しいが、しかし春夏秋冬の季節は予測可能です。同じように経済のトレンドは大よそ予測できますのでそれに乗ることが大事です。例えば、前出「七星購物」のように金融や証券は成長の余地があることで多くの企業が転身したりまたは新設もされていますが、しかし小型金融株や第三者決済(電子支払)の株は政策や消費動向など左右されることが多く、トレンドに乗って株価の上昇はありますが、長期投資としては不向きで、利益をある程度確保できる段階では利確をした方がいいものもたくさんあります。
これらの投資判断は個々人のスタンスの問題で、欲張らずに「頭と尻尾はくれてやれ」という格言を常に頭に入れて、今後も「中国株エクスプレス」を利用してほしいと思います。