消費の構造転換も

第13回投資視察団が出発したのは11月5日でした。この時期、北京の平年の気温ですと、3度から15度位でしたので、ハーフコート1枚で出発しましたが、翌日の6日は11月にして珍しく雪で、とても肌寒い1日となりました。寒かったらユニクロのお店にでも立ち寄って、日本との価格を比較する意味もあって肌着を買おうと心に決めていたのです。

その日の午後、「中国動向」が展開するKappaの新世界百貨店のお店を見た後、同モールの中にあるユニクロのお店に立ち寄り、長袖の肌着上下揃って258元(1着につき129元=約2580円)で買い求めました。この日はセールもあってお買い得したかと思ったら、出発の羽田空港の同店で、同じ肌着を1着800円も安く買ったと参加者の一人が教えてくれました。周りを見回すと、結構混雑した店内で、地元の買い物客は普通にショッピングを楽しんでいるのではないでしょうか。 

中国人観光客の日本での爆買いがマスコミに取り沙汰されていますが、円安効果もあって中国人消費者の購買力が20年も前より遥かに高くなっていることは間違いありません。 

1980年代、中国人家計の支出は食費や衣料費が大半だったのですが、1990年代には、家庭用電化製品の支出がメインで、2000年代に入ってから自動車と不動産、そして2010年から以降は国内、海外旅行などレジャーを楽しむことが消費(支出)の主流となってきています。 

そのことは中国のエンゲル係数にも裏付けられています。1995年を境目にして、エンゲル係数は50%を下回り、1999年には41.9%、2000年には40%、2014年には37.9%まで下がっています。 

日本の場合、昭和22(1947)年には、63%、28(1953年)年には50%を切って48.5%に、昭和37(1962)年には現在の中国に近い39%になって、昨年は1993年以来、21年振り高水準の24.3%(総務省)となっています。 

第13回投資視察団は、北京で中小企業や個人向け担保付小口融資の「中国金融投資管理」(0605)、民用ヘリコプターの最大手の中航科工(2357)、スポーツ(スキー)ウェア―の中国動向(3818)そして深センでは、国内及び海外向け自動車整備関連機器の製造と販売の元征科技(2488)、ごみ発電の中国緑色動力(1330)、スマホの酷派集団(2369)の合計6社を訪問しました。 

違う業種の6社を選んで訪問したのは、中国経済全般を勉強するためで、この中にはこれから伸びる企業とすでに競争激化で生産過剰に入るだろうという業種(企業)も含まれています。しかし、共通項にはその先に中国が推進しようとする消費や環境関連があるということです。 

この原稿を書いている昨日(22日)、国務院の「生活関連サービス業の開発加速と消費構造転換の促進に関するガイドライン」が新華社通信により配信されました。

生活関連サービス業の推進を趣旨とする初めてのガイドラインで、今後しばらくの期間、健康や老後、観光、スポーツ、文化、法律、住居や飲食など国民生活と密着したサービス分野を重点的に推進し、消費性向を生存的、伝統的、物質的から発展的、近代的そしてサービス型に転換させることを目的とするもので、指導部が推進中の経済の構造転換は消費関連が転換の重要なツールとルートであって、このような転換はかつての日本の経験が大いに参考になるものと考えます。 

 

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