最近、中国のWechat(中国最大のSNS)に次の写真が瞬時に数億人のユーザーに共有されています。
世界通信設備最大手の華為(HUAWEI)技術の総帥、任正菲が4月16日、上海の虹橋空港でキャリーケースを引っ張って一人でタクシーの列に並んでいるところをネットユーザーに見つけられ、写真に収められてWechatにアップされたのです。
御年72歳、個人資産80億元の世界企業のリーダーが深夜同伴者も送迎の車もなく一人でタクシーを待つなんて考えられないとして、ネットユーザーの共鳴を呼んでいます。
同写真がアップされた後、同社社員からも任氏が同社社員食堂で社員と一緒に列を並んで食事をする写真もネットにアップされ、社内では、列を並ぶことはごく普通のことで、これが華為の社風だとコメントもしています。
華為は世界企業番付「Fortune Global 500(フォーチュン・グローバル500)」にランクインしながら、上場していないため、同社及び創業者に関する情報は他社より少ないのが現状です。また任氏も控え目でマスコミへの露出もほとんどありません。
華為はどれくらい強いか、私も含めて毎日世界で20億人が使用する通信設備に「Made in Huawei」になっていることを考えればその凄さをおわかりいただけると思います。
限られた情報からその華為に関する情報を拾ってみました。
まず、ネット三雄のBAT(百度、アリババ、テンセント)との比較です。
社員数:BAT3社合計11万人、華為は世界中で17万人売上高:BAT3社合計2500億5000万元(その内は百度663億8200万元、アリババ762億元、テンセント1028億元)に対して華為は3950億元(いずれも2015年)でBAT3社を超えています。
納税額:BAT3社は201億元(百度22億元、アリババ109億元、テンセント70億元)に対して、華為は単独で337億元(2014年度)になっています。
利益:アリババは234億元、テンセントは242億元、百度は105億元でBAT3社合計580億元ですが、その70%の帰属は外国人株主になるのに対して、華為の利益は369億元(2015年度)で、創業者の任氏が保有する同社株式は僅か1.4%で、残り98.6%は社員が株主になっています。
研究開発の費用ですが、百度は61億元、アリババは110億元、テンセントは60億元ですが、華為は353億元を計上しています(上記統計は「フージワーフ「中国富豪ランキング」――胡润百富による)。
華為が成功した背後には、創業当初作られた「華為基本法」があったからこそと言われます。同基本法は社員株主制と定め、創業者の任氏がわずか1.4%しか保有せず、98.6%の株式を全社員保有と決められ、会社の利益はほぼ100%株主に配分するという激励制度が当時も今も同社を世界的企業に育てられた大きな要因の一つだったと言わざるを得ません。
華為は上場していませんが、中国株の投資家としてどこかで利益に預かることはないものでしょうか。