ナショナルチームの出動 その後は

日銀の異次元金融緩和のお蔭で、株式市場での「爆買い」はすでに8兆円を超え、日経平均を構成する9割(約200社)の企業で実質的な大株主になっていることがブルームバーグの纏めで明らかになっています。

それによると、今年の3月まで、日銀は国内上場日本株ETF全体の55%、金額にして8兆6000億円を投入し、現在もテルモや大和ハウス、住友不動産などの株主の上位3位に入り、また日経平均の構成ウエートトップのファーストリテイリングの場合は約9%を占める株主になっていると言います。

株式市場の低迷で、市場を買い支える力がほしいことは中国も例外ではありません。

金融専門サイト「金融界」の統計によると、今年第1四半期まで、中国の「ナショナルチーム」は、A株全上場2800社の内、約50%相当の1416社、合計6978億株、時価総額にして3兆2400億元を投資していることが明らかになりました。

同じ時期の上海、深セン市場の時価総額は約45兆元で、ナショナルチームの持ち株は市場全体の約7.22%に相当することが分かっています。

また、縦の比較から見ると、2015年の第4四半期の持ち株は6924億株、時価総額にして3兆6300億元、第3四半期は7045億株、同3兆4000億元で、昨年夏以降の株式市場の乱高下を経験し、時価総額が下がっている中でも持ち株を減らしていないことが明らかになっています。

ナショナルチームとは、一般的に国務院を中心にして設立された中央匯金投資有限公司と証券監督管理委員会により設立された中国証券金融股フェン有限公司のことを言いますが、前者は国有資産の運用、後者は融資の仲介や運用の監視、市場の非常事態の対応などを目的とするものです。

ナショナルチームの投資先時価総額のランキングを見ると、依然銀行業がトップで、次いで非銀行の金融業(証券や保険)で、3位は建築、4位はバイオと医薬品の順となっています。

また、中国証券金融公司はすでに600社の上位10位の株主名簿に名前が並べられ、保有株式の時価総額上位100社の内、80%が国有企業であることも明らかになっています。

では、ご参考に、ナショナルチームが保有する時価総額上位50社のうち、A・H株同時上場の会社をピックアップしてみます。(括弧内の数字はA株の保有比率)

中国平安(6.2%)、中国銀行(3.27%)、中信証券(12.67%)、中国工商銀行(1.67%)、中国中車(8.53%)、中国建築(10.87%)、中国人寿(2.39%)、中国中鉄(5.98%)、中国鉄建(6.79%)、万科A(2.99%)、上海電気(3.5%)、申万宏源(2.99%)

保有内容の内訳を見ますと、ETFと大差がないことをお分かり頂けるだろうと思います。ナショナルチームとは言え、我々個人投資家より投資ターゲットを絞る点で何一つ勝ることがないことを、リストを見て感じたものです。

 

 

<お知らせ>

6月投資視察団の締切が迫っています。ご検討中の方は早めに声をお掛けくださいますようお待ち申し上げます。

 

 

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