万科に異変?

 不動産業界の優等生とされる万科企業(2202)には、最近「異変」が起きています。株式、債券の同時安という「ダブルパンチ」を食らっているからです。債券安で2024年満期を迎えるドル建て債券の収益(利回り)率は一時40%~60%超まで跳ねあがっているので、恒大集団(3333)や碧桂園(2007)などの二の舞を演じるのではないかとの懸念が広がったのです。

 10月下旬、万科の「VNKRLE 5.35 03/11/24」と「VNKRLE 4.2 06/07/24」の2024年に満期となるドル建て債券の利回り率は一時43.93%と60.65%まで飛びあがっています。利回り率の高騰は債券価格の下落を意味するもので、額面100ドルの債券が40ドルか60ドルで買える「債券安」となっています。市場では、債券安となった場合、株価が上昇する株高となる場合が多いが、万科の場合は、9月6日の直近2カ月の高値10.06HKDから11月1日の7.41HKDまで3割近く下落し、2014年12月以来、約9年振り安値(A株も5年振り安値の11.07元)を更新したのです。
 株価の下落は経営危機に揺れる恒大や碧桂園の影響も大きいが、10月17日、国際格付け機関フィッチは、万科のドル建て債券の格付けを「BBB+」から「BBB」に引き下げ、発行者のデフォルト評価を「安定」とする格付けを発表したことが響いたと見られます。
 株式と債券の同時安に対して10月31日、同社は、わが社のファンダメンタルズに変わりはなく、(ダブルパンチの理由は)市場のセンチメントの変動にあるとし、同時に、海外市場でわが社に対する誤った憶測が広がり、米ドル建て社債価格が大きく変動したとフィッチの格付けを念頭にしたコメントを発表したのです。
 ところが、前出のように同社のコメントは株価下落の流れを食い止めることが出来なく、その後も低位推移を余儀なくされています。
 そこで、同社は今月6日、内外の機関投資家向け3四半期(1~9月期)の事業(業績)説明会を召集したのです。事業説明会なので経営陣が出て質問を受けるのが一般的ですが、同社所在の深圳市国有資産監督管理委員会(国資委)の主任や深圳地下鉄集団の董事長などトップの顔ぶれも揃い、物々しい雰囲気の中での開催となったのです。それもそのはず、深圳地下鉄集団は万科の株式27.18%を保有する同社筆頭株主で、同地下鉄集団はまた国資委の管理下にある国有資本の会社で、国資委は間接的ではあるが、万科の大株主なので、株式や債券価格の下落に大株主の意向が大変注目される中、通常にない顔ぶれの出席となったのです。
 大株主は何を語り、そして株価の動向は?

 

 

 

 

 

 

 

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