中国電子商取引(EC)大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ・PDD)は史上最高の収益を上げ、本業によるキャッシュフローは437億元(1元=約20円)、6月30日までの現金、現金等価物、短期投資の合計額は約392億ドル(23年12月31日までは299億ドル)だったにも関わらず、配当も自社株買戻しの予定もないことを経営陣が決算発表会で明らかにしたことにより、発表翌日の株価が30%も急落しました。何より外部環境を鑑みて高い伸び率は持続不可能と予想したからです。
ちょうどその外部環境の片隅を物語る消費系銘柄が中間期決算を発表しているので拾ってみました。鍋料理店チェーンを展開する呷哺呷哺餐飲(シャブシャブ・0520)です。
社名及び店名の「呷哺呷哺」は日本語のシャブシャブの当て字で、もともと台湾にある鍋料理店を創業者、賀光啓氏が中国内地に紹介して北京を中心にして全国展開するようになった有名なチェーン店です。火鍋料理に海底撈国際(6862)という名の知られるチェーン店もあるが、それより4年も早く2014年に香港市場に株式を公開したのです。
火鍋料理と言えば、四川省や重慶市を中心とするあの真っ赤な火鍋を連想するものですが、大勢でナベ一つでみんなで取り合いながら食べるのに対して呷哺呷哺は個人用の小ナベで頂くのが特徴的で、大勢で分け合いながら食べるのに抵抗のある人、とくに若い女性には人気で、女性一人でも気軽に入ることができてあっという間に人気店となったのです。
2017年ごろだったと思いますが、視察団で北京訪問の際、皆さんと同店を利用し、ちょうどランチタイムもあって予約せずには入れないくらい混雑したことが記憶に残っています。上等のラムと牛肉セットに生ビール1杯で一人当たり100元程度(当時の為替で約1500円くらい)だったかと覚えています。
食べながら皆さんに同店に入った理由を説明したのです。会社訪問はもちろんいいのですが、消費(飲食)系の会社ならそのお店に入って観察するのがいちばんわかりやすいからだと皆さんも納得いただいたようです。
当時の株価は10HKD台で、大相場の21年2月には27HKD台まで高騰し、十分にリターンをもたらしてくれた銘柄だったのです。
時としてちょうど中国の不動産業も最盛期で、建てては売れる時期だったので、国民も明るい未来に大きな夢を抱いていました。
大胆な予想の元、2017年初のコラムは「2017年は投資の年となる」とのタイトルで書いたのです。
それから凡そ4年後の21年に中国株も最高値を迎え、その後下落に向かいますが、同社株価も経済全体の流れには逆らえず、ほぼ同じ鈍化曲線を描いて今日に至っています。
株価も21年の高値27.15HKDから先週ついに1HKDを割り切ってしまったのです。