実体経済の立て直しが急務

中国株の暴落で「中国版バブルの崩壊」という声も聞こえてきます。経済規模が世界第2位になった今、中国経済が崩壊したら、得をする人が世界中誰もいないだろうと断言できます。 

今回の政府による株式市場の買い支え策は市場原理と相反するものだと批判もされますが、必要な措置だと将来的に評価されるものと考えます。 

そもそも中国株暴落の原因は「場外配資」と言われる証券会社以外の融資会社による過剰融資だったと指摘されます。「場外配資」は最高時3兆元とも言われ、株の暴落と政府規制で、現在1兆3000億元程度に落ち着いていると推測されます。 

こうした株式市場の融資残高はA株時価総額の2.5%程度ですが、しかし、米国の1.9%、日本の0.5%、台湾の1%と比べたら依然高いことも明らかなことで、融資のレバレッジを圧縮することが課題であることに変わりはありません。 

しかしそれにより、実体経済への融資残高が本来憂慮すべきことです。なぜなら、金融機関経由の融資残高は合わせて80兆元に上り、不良債権比率が10%で試算しても凡そ8兆元になりますので、株式市場への融資残高の数倍にもなるからです。 

実体経済への融資残高が急速に伸びたのは2008年から以降、4兆元に上る財政支出で、4兆元に上る予算執行で20兆元に上る債務を積み重ねただろうと見られます。 

財政出動による結果は、これまでも触れた通り、鉄鋼やセメント、板ガラスなど低付加価値産業の生産過剰を生み出したことです。 

中国の鉄鋼生産量は昨年末すでに12億トンに達しますが、中国国内での需要は凡そ半分強の6億~7億トンに留まります。またセメントの生産量も約60%は過剰だと言われます。 

京華投資視察団で企業訪問する際、必ず業界での当該企業の位置づけについての質問が出てきます。しかしどんな業種でも全国でのシェアは2割を超える企業が珍しい存在だと言えます。多くは全国一大きい企業だが、シェアは5~6%程度だと言います。 

昨年中国の自動車販売台数は2300万台を突破しましたが、自動車メーカーが全国に1000社以上もあることを考えると、どこの企業もシェアをわずかにしか取れていないことが分かります。 

GDPが二桁台で伸びている間、どの企業も伸びますが、しかし経済減速の今、企業の本来の価値がさらけ出されるようになります。 

財新7月PMI指数(前HSBC中国PMI指数)は本日(3日)修正値が発表されましたが、速報値(48.2)より更に低い47.8と2013年7月以来2年振りの低い水準であることが明らかになりました。 

生産過剰が解消されない限り、商品は高く売れないし、銀行の融資返済も滞ります。資金の有効活用ができない限り、金融機関の株価も上がりません。企業再編を通して競争力を身に付けることが急務だと言えます。 

 

 

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実体経済の立て直しが急務」への1件のフィードバック

  1. SECRET: 0PASS:ヨウコです。アメブロ新着記事からやってきました。楽しく読ませていただきました。これからも更新頑張ってください。今日は、これで失礼します。もし、よければ私のところにもおじゃま下さい。

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