一週間ぶりのコラム更新です。まず無事に帰ってきたことをご報告します。北京を訪れたのは、コロナ禍終息(ロックダウン解除)のすぐ後だったので、1年半ぶりの再訪となります。街はしっかりと人出で賑わい、利用した飛行機も高速鉄道もほぼ満席で、「コロナ禍とは何ぞや」と、3年間も苦しめられたとは思えないくらい普通の暮らしぶりが戻っていますが、今までとは違う幾つも体験を経験したので纏めてみました。
「超」がつくインフラ整備
北京から東北地方の長春という町に高速鉄道で向かいましたが、北京からの始発駅は「北京朝陽駅」。聞いたこともない駅名でかなり辺鄙な場所にあるかと思ったら、市内の朝陽公園のすぐ近くで、東北地方に向かう高速鉄道のために新しく作られた駅なのです。現地の人に聞いたところ、現在北京を中心にして東西南北に向かう高速鉄道のために、北京西駅、北京東駅、北京南駅、北京北駅、北京清河駅など従来の北京駅以外に5,6も駅が新設または貨物線駅を改造され、高速鉄道専用駅にされています。今回利用した北京朝陽駅はもともとは更地で、空港のターミナルを連想させられるような外観で広々とした待合スペースはいままでの人混みでごった返すようなイメージを完全に一掃してくれたのです。
地下鉄や他路線からの乗り入れがない分、標識もはっきりしていてとても利用しやすく、料金も飛行機の約6割で、今までの国内移動はほぼ飛行機だったが、高速鉄道も利用する価値が十分にあると認識したのです。
日本以上に進展するデジタル化
中国では、全土を縦横各8本のルートからなる高速鉄道網「八縦八横」の建設を着実に推進し、主要都市間をすべて高速鉄道で結ばれる日も近いと思われます。一方、全国民を電子データで一括して「管理」するデジタル化がすでに実現していることに正直驚いています。
中国では、身分証明書としてICチップが埋め込みされた「身分証」が全国民に配布しています。宿泊や飛行機、高速鉄道、口座開設、携帯電話の契約などこの「身分証」がなければまったく身動きもできないと言っても過言ではありません。口座開設や携帯電話の契約などいずれも「実名制」(記名式)が求められますので、スマホの各種アプリも実名制でないと利用できません。逆に、実名で高速鉄道の乗車券や飛行機の搭乗券を予約すると、ペーパーレスで当日改札で身分証をかざすだけで全国どこの駅でも利用できますので、個人情報のネットワークが全国津々浦々をカバーしたと言えます。マイナンバーの普及で苦戦している日本とは対照的です。
第6環状線まで地下鉄で結ぶ北京
昨年末現在、北京で運行されている地下鉄路線は27路線で、運行距離は上海の864キロに次ぐ世界2位の836キロ。25年末までには30路線、1177キロに及ぶので、かつて第3環状線以外は「郊外」というイメージだったのだが、地下鉄の集中開通で第6環状線まで都内に入りつつあるのが現状となっています。