業績回復期待のトラベルスカイ

 中国では、年明けから春節(旧正月)や清明節、労働節(メーデー)の3日~1週間の連休が続き、各地の観光地では人でごった返す風景が見られました。観光業の復活が明らかになり、株式市場では、航空券やホテル予約の携程集団の株価が史上最高値を更新しました。携程集団は航空券などの予約を受け付ける「窓口」ですが、発券業務など航空情報システムを管理、運営するのが中国民航信息網絡(トラベルスカイテクノロジー・0696)となります。

 観光業の回復と各国との貿易、人的交流の再開などを予想して、1月に「航空業界のVISAか 中国民航信息網絡」を書いたら、株価が12HKD台からいきなり8HKDまで急落しました。どうしたことかと、調べた結果、「利益はどこへ行った?トラベルスカイ」でその利益のからくりを分析しました。
 上半期の純利益は約12億元で、下期は少なく見積もっても10億元はあるだろうと、通年の利益は22億元と市場では期待していたのだが、1月中旬の同社決算速報だと、通年の利益は14億元だというので、上期に対して(下期は)減益ではないかと、失望の売りを誘ってしまったのです。その後詳細について少しずつ情報が出ているが、上期に対して下期はプロジェクトの完成に合わせて年末までの支払いや年度賞与、ストックオプションやその他引当金など支出が集中する傾向があり、速報で発表された結果になったことがわかりました。
 完全に納得したわけではないが、「一理あり」のと仕方ないなと半分諦めモードで業績のさらなる回復を期待することに時間をかけて見ることにし、株主兼得意先でもある3大(中国国際、中国東方、中国南方)航空会社がいずれも増収と赤字の大幅な縮小もあって十分期待できるからだと見ていました。
 もちろん同社に関心があるのは当方だけではありません。中国の証券会社各社も相次ぎレポートを発表し、「買い」を推奨しています。
 証券大手の申万宏源によると、23年トラベルスカイの情報システムで処理した航空座席は6億2千件で、前年比約150%増、19年の90%まで回復。今年1~3月の処理件数は前年比38%増の1億7700件、19年の106%を回復し、うち、国際線の席は355%増の1800万件(19年の74%)、国内線の席は28%増の1億5600万件(19年の114%増)だというので、国内、国際線ともにプラス成長し、国内線に関して19年比で倍増し、国際線に関して7割以上回復しているので、国際関係の正常化に伴い、利益率の高い国際線の回復も期待されます。
 一方、22年末までの中国の空港は254カ所で、35年末までに450カ所まで建設される計画で、航空需要がひっ迫しています。というのも中国14億人のうち、約10億人が飛行機に乗ったことがなく、一人当たりの搭乗回数は世界平均の0.87回(米国は2.83回、カナダは2.4回、豪州は3.0回)に対して中国は0.47回(中国民航局発表)に留まっているので、潜在的成長力は非常に大きいと見られます。
 業績回復で、株価はまず1月コラム前の水準を超えると期待されます。

 

 

 

 

 

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