香港市場も変化の最中

2016年も残り少なくなりました。
皆様にとってどんな一年だったのでしょうか。

中国市場に関して言えば、
年初のサーキットブレーカー制度の実施と廃止、
2月以降、市場の自律反転と深港通の開通期待で
ハンセン指数の上昇、
そして万科企業の経営権を巡る争奪戦から、
レバレッジをかけた保険資金の株式投資の
是非に関する議論――1)企業は誰のものなのか、
2)保険資金はハゲタカか、
そして年末になりまして人民元安に伴い、
資金の流出懸念と企業の海外移転など
話題の欠かせない一年でした。

 

ハンセン指数は1月の18278ポイントから
9月の24364ポイントまで約40%上昇しています。
「売りのタイミングがわかれば・・・」と
10月の勉強会で参加者の方から
利確のタイミングの難しさを口にされていました。

 

上海香港直通車開通(2014年11月)の時は、
人民元の為替レートも堅調で、
北上資金(香港経由上海A株の投資資金)が
南下資金よりずっと多かったのですが、
深港通開通(2016年12月)の際、
人民元対米ドルの為替は約10%も切下げられ、
不動産以外利回りの良い投資先の欠乏で
国内資金は投資先を模索して
香港市場に流れています。

 

香港証券取引所が21日発表したところによると、
12月15日現在、上海A株の取引高は
71億9000万元で、昨年の144億2000万元と
比べて約50%マイナスなのに対して
同じ期間の香港H株の取引高は昨年の
75億6000万HKDから4%増の
78億3000万HKDへと南下と北上資金が
逆転していることが明らかになりました。

この流れは暫く続くだろうと考えられます。

ところが、アメリカ市場の時価総額
上位にランクインされた企業を調べてみると、
一位はアップル、二位はグーグル、
三位はマイクロソフト、四位はFACEBOOK、
五位はアマゾンとなりますが、
A株やH株の上位20社を見てみると、
依然伝統産業の石油や金融、不動産と並びます。
H株について幸いなことにITの代表として
テンセントが入り、ハンセン指数の
約10%を占めるに急成長しています。

 

香港市場の特徴の一つに
「ファンダメンタルズは内陸にあって、
株価の評価は海外機関投資家にある」と
良く言われます。
国際マーケットであるだけに、
世界すべての動きに敏感に反応する市場ですが、
ハンセン指数の約70%は内陸の企業により
占められ、その業績次第で株価は上下します。

しかし、現在香港市場の
投資マネーの内訳をみてみると、
イギリスが最高の27%に続き、米国が約20%、
英国以外のヨーロッパやシンガポール、
日本のほか、中国内陸からは5%から
やっと10%になるところまで来ています。
つまり香港上場企業の株価は
欧米機関投資家に左右されていると
言っても過言ではありません。

 

香港証券取引所もVCやハイテク企業の誘致に
やっと重い腰を起こしています。
そういった香港市場に内陸の上場企業と
内陸からの投資マネーが殺到してくると、
上場企業の株価が再評価される日も
来るだろうと思います。
いま香港市場も変化の最中にあります。

 

 

<新春勉強会のご案内>

新春勉強会を1月12日(木)に開催。

2017年の市場展望と11月の視察団で
訪問した企業についてご報告します。
関心のある方はどうぞご参加を。

徐さんの中国株の最新記事

コメントする