「乱高下時の市場介入辞さない」

先週土曜日(12日)は経済紙記者にとって忙しい一日でした。北京で開催中の全人代の報道官は経済や金融の中枢にある中央銀総裁や証券委主席、国有資産監督管理委員会など官庁のトップを呼び、午前と午後の2回に渡って記者会見を行ったのです。

全人代の開催期間とは言え、土曜日に経済や金融のトップらによる会見は極めて異例です。何よりその発言は為替レートや株式市場に対して多大な影響を及ぼすことがあるからです。それが取引のない土曜日会見の理由ではないかと市場で見られています。

本日(14日)上海と香港市場は寄付きから上昇し、その反応から見て、概ね会見の内容にマーケットは評価していると考えて宜しいでしょう。

では、その会見で一体どんな発言があったのでしょうか。まず会見の顔触れですが、「一行三会」と言われる中国人民銀行の周小川総裁、証券取引等監視委員会に当たる証券監督管理委員会(CSRC)の劉士余主席、金融庁に当たる中国銀行業監督管理委員会の尚福林主席、中国保険業監督管理委員会の項俊波主席、そして国務院直属国有資産監督管理委員会の肖亜慶主席及び上記を補佐する副大臣の面々です。

上記の内、新任主席(委員長)は、CSRCの劉主席と国有資産監督管理委員会の肖主席の二人です。投資家と直接かかわりのあるCSRC劉主席の発言の要旨を見てみましょう。

まず、市場が関心を持つ、新規上場の審査制から登録制への移行に関して、劉主席は、「登録制は実施しなければならない。しかし完全なる法整備が必要だ。セットとなる改革は相当長い期間を要する。登録制は単独突進してはならない。審査制でも登録制でも投資家保護と言う理念の下で進めなければならない」と登録制の実施は当分できないとの見方を示しました。

次に、ナショナルチームと言われる中国証券金融有限公司が昨年市場大暴落の際、国家資金で大量に株式を買い支えたが、一部ではすでに売出が始まったと言う報道に対して、「昨年の市場介入は市場を安定させるために大いに甲斐があった。今後も市場が失効の際、再度の市場介入も辞さない。よその国でも同じ経験がある。現在また今後しばらくの間、中国証券金融有限公司が市場介入を取止めることについて語るのは時期尚早だ」と市場の買い支えは今後も継続していくことを示唆しました。

更に、サーキットブレーカー制度について、劉主席は「サーキットブレーカー制度は市場の過度な変動を防ぐため導入した措置で、個人投資家保護が目的だった。しかし、個人投資家が絶対多数の中国の市場には合わなかったのは事実で、制度の初心と相反した結果となった。今後数年の間、市場の主体に根本的変化がない場合、サーキットブレーカー制度を実施する基本的条件にない」と導入に慎重的な考えを示しました。

最後に、市場が最も関心を持つ、深センと香港市場の総合直接取引の直通車について、劉主席は、「政府活動報告でも触れている通り、今年は必ず実施する。技術的には(開通のための)障害をすべてクリアした。政府のゴーサインを待つばかりだ」と述べるに留まり、政治判断があることを示唆しました。

CSRCの新主席として上記問題のほか、インサイダーを取り締まる法整備など難問にも直面しています。しかし初の記者会見で明確なメッセージをマーケットに送り出していることを素直に評価し、その手腕を見守りたいと考えます。

 

 

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