あなたの儲けはどこから

『損をして覚える株式投資』とは邱先生の著書のタイトルです。損するために株式投資をする人は誰もいないと思いますが、しかし株式投資で損したことがないと言える人はまた一人もいないのも事実なのではないでしょうか。

ここでいう損とは個別銘柄の選定の失敗ということで、一時的に損を出したことを言いますが、トータル的に儲け(利益)が出ている投資家が周りにたくさんいるのは紛れもない事実です。では、その儲けはどこから生まれたのでしょうか。

株式投資の儲けは基本的に次の三つのところから出ていると考えられます。

一つは企業の利益から。企業活動から利益が出て、企業内留保を差し引いて株主に還元されるのが配当金で、さらに企業収益が出ているため、その企業に投資する投資家が増え、株が買われて株価も上昇し、キャピタルゲインを投資家が企業と一緒にこれを享受することができます。

もう一つは、その国の中央銀行から。例えば、アメリカの中央銀行に当たるFRBが2008年の11月からQEを実施し、市場に大量の流動性を増やすことによって株式市場にお金が流れ指数が史上最高を記録しました。日本銀行も同じことをやって日経平均は1万円未満から2万円台まで回復させています。

中国本土市場は昨年後半から上昇し始めたのですが、中央銀行が利下げを決めたことがきっかけの一つでした。昨年11月には、一年もの定期預金の基準金利は3.1%でしたが、5回の利下げで現在1.5%に。利下げした分、銀行に預けた場合の収益はこの一年実質半減したことになり、銀行預金と比べてほかの投資資産の価値が増えることになります。

そして最後は他人のポケットから。IPO価格は主幹事会社や機関投資家が集まってその企業の価値を評価してIPO価格を決めて企業が上場して取引が行われるもので、その企業を100円で買う人もいれば、200円で買う人もいます。それはあくまでも買う人のその時の判断ですが、短期的には買う人が多ければ株価は上がりますし、買う人が少なければ(または売る人が多ければ)株価が下がります。企業価値を判断するには、年単位を要しますが、短期で利益を得ようとする人は、株式市場もゼロサムゲームと同じ感覚で投資するのと一緒で、利益はあくまでもほかのゲーム参加者のポケットから得ることになります。

他人のポケットから利益を上げる投資は、短期投資の典型で人の失敗から利益を上げるのと一緒で、打率はサイコロを投げる時と大差はありません。みんなが考えることは同じですから、一人だけが勝ち抜けることはまずありません。

「中央銀行から」の利益は、世界情勢やその国の財政、通貨政策などに常に関心を持って観察する必要があり、確率から見ても「他人のポケットから」よりは儲けのチャンスはうんと増えます。

確実なのは、「企業の利益から」で、これには長期的視野と一時的浮き沈みに影響されない心構えが必要となります。株式投資は決してゼロサムゲームではありません。企業収益が拡大されることはパイが大きくなることを意味し、企業の株主として大きくなるパイから利益の一部を配当金やキャピタルゲインの形で頂くことで、長期的に利益が上がり続ければ、株主としてもらう分も増えると言うことになります。

中国の株式市場ができて間もないごろに投資した会社の株を現在も保有し続けている投資家もいて私も驚いています。

 

 

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