米国の次期大統領選でトランプ氏が当選されました。氏の当選は世界中の人々をハッとさせましたが、一番驚いたのはご本人ではないでしょうか。
昨日、当社で行われた講習会で、中国への影響についてご質問が出ましたが、政治経験ゼロのトランプ氏なので、どんな政策が出ても可笑しくないし、逆に今すべての予想も憶測の範囲に過ぎないので、これまで世界中に向けたアメリカの視線がより多く国内に回帰し、アメリカ・ファーストの政策が最優先される中、私たちが対策を考えればいいことでしょう。
中でも迅速な利上げもあるのでしょうし、世界中の通貨が米ドルに対して安くなることもあるのでしょうから、そうした観点で、安全資産を考えることではないでしょうか。
安全資産と言えば、中国株投資家にとって、中国国内の資産はどのような方向に流れているのかを見極める必要があります。
講習会では、例として積み立て保険というタイプの運用が紹介されましたが、『徐さんの中国株』でも取り上げている通り、中国の中産階級が大挙して香港に出向いて香港の積み立てタイプの保険に加入しています。
その規模は2010年の44億HKDから昨年の第3四半期末までの300億HKD、5年間で6倍近く増えている勢いです。
現金の海外持ち出しに上限が決められているので、デビットカードのUnion Payで決済するケースが多発のため、発行元の中国銀聯から10月、保険料払込みのための決済は一件につき上限5000米ドルとの通達が出されました。お蔭でそれまで高騰した香港の保険会社の株が一斉に下がりその影響がしばらく続くものと考えられます。
積立保険は内陸から香港への資金流出先の一つにすぎません。人民元安を受けて安全資産とされる米ドルや香港ドルなどの資産へ国内資産を移そうとする動きが今後も加速されることでしょう。
中国のM2(マネーサプライ)は1978年(改革開放の当初)には860億元で、1990年には2兆元へ、2000年には13兆5000億元へと増加しましたが、パイが大きくなり、受け皿も大きかったのですが、しかし2000年から通貨、元は洪水の如く溢れ、中央銀行の最新の発表で、今年9月末日まで、M2残高は151兆6000億元で、過去10年間流通通貨の量は11倍までと膨れ上がっています。
通貨の受け皿は各種商品を始め、不動産など高騰しみんながハッピーのように見えましたが、製造業が停滞し、不動産も頭打ちの様相で溢れているお金は行き先を失ってしまったのが現状です。
幸いなことに、深セン、香港ストックコネクトが間もなく開通される見通しで、最新情報では、今月21日が最有力だと報じられています。
トランプ氏当選の発表で香港市場も東京市場と同様、一時大きく値下がりました。しかし下落も24時間を超えず、翌日の取引で大きく値を取り戻しています。内陸からの巨万の富が今度香港に流れます。保険市場に続き株式市場がその受け皿となることでしょう。