トランプ氏の中国ビジネス

トランプ氏の選挙遊説の対中批判の一つに、安い人件費で作った製品がアメリカに輸入し、これにより米国の雇用が200万も失われてしまった。これを是正するため、中国を為替操作国として指定し、中国からの輸入製品に対して45%の関税をかけると言います。

 

今から8年ほど、大学の同窓会があって海外からも大勢の同級生が北京に集まりました。20数年ぶりの人もいるので同窓会を盛り上げようと、各々が現在暮らしているその地のお土産を一個ずつ持ち寄せようというアイデアが出ていました。

 

米シカゴ在住の同窓生からは、「日本で何か買ってくれないか。当地は中国製ばかりで、逆輸入してももらった人は嬉しくないだろう」と依頼のメールをもらったことを記憶しております。

 

しかし「悪かろう、安かろう」という安い人件費は、過去のものになりつつあります。米Boston Consulting Group(BCG)が2015年の調査で、人件費と労働者の生産性、エネルギーコストその他の要素を総合すると、中国の製造コストは米国に匹敵すると言う結果が出ました。

 

またBCGの同じ年に行われた別の調査では、中国進出の製造業企業の24%が中国から米本土に引き上げたいとの結果も発表されています。ちなみに2012年の同調査の結果は10%だったのですで、3年間で倍増したことになります。

製造コスト増とは反対に、サービス業を中国に持っていく流れは留まりません。

当選した米次期大統領のトランプ氏も、北京や上海など主要都市に同グループの豪華ブランド、「Trump Hotel Collection(THC)」を作る計画があることをTHCのEric A. Danziger首席COOが先月20日香港で披露しました。

 

香港で開かれた Asia Pacific’s PremierHospitality ConferencesでDanziger首席COOは、今後中国の20~30の主要都市でTHCブランドを、その他の都市で同グループのScionブランドのホテルを展開する計画を会見で明らかにしています。

 

中国でTHCブランドのホテル展開の理由については、中国経済は年間約7%の成長であるのに対して、アメリカは1%前後で、中国のニーズはアメリカを上回るからだとしています。

 

フランスのAFP通信は、トランプ氏と中国とのビジネス関係を調べようと、中国内陸と香港でリサーチしたところ、トランプ氏本人の名前で登録されている会社は少なくとも8社あることが判明したと報じました。

 

トランプ氏が中国企業と結んだ最初のビジネス契約は、現在万科企業の株式を買い進んでいる中国恒大地産グループとの共同開発契約で、2008年2月、トランプ氏本人と恒大地産、香港の東方地産集団の関係者と中国で高級住宅と超高層ビルを開発する契約書に署名する場面を現地紙が写真入りで紹介されています。

しかし2008年というタイミングが災いしたのでしょうか、その契約も幻で消えたようです。

中国でのTHC展開は大統領選出直前の発表で、予定通り展開されるか、また氏の対中政策でその計画に影響されるか、注目したいと思います。

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