バブルの二の舞になるか

最近、あるWEB記事が大変な話題を呼んでいます。専門誌「証券時報」の「券商中国」コラムの記者が2014年の上場会社の決算報告を調べたところ、全上場会社(2818社)の内、約18%に相当する494社の純利益は1500万元(約2億7000万円)未満で、北京や上海、広州、深センなど大都市では、上等なマンションも一件買えない利益だと言います。更に調べたところ、全上場企業の三分の一強の1065社の利益の合計は5500万元で、これも深センの豪邸一件は買えないと記事に取り上げられています。

これについて英大証券のアナリストは、上海と深センの優良銘柄300社から構成する指数ETFの「滬深300(000300)」の純利益は全体の86%を占め、残り14%の利益を残る2500社が分け合っている状況だと指摘し、上記記事もあながちウソではないことを立証しています。

このことからは投資家として二つのことを読み取れるのではないかと思います。

一つは、大都市の不動産価格はバブルの真っただ中にあること、もう一つは投資先選択の際は、いつ何時でも利益を出している会社か、またはこれから利益を出せる土台を築き上げられているかどうかを見定めることです。

不動産価格を示す深セン仲介業者のボード(WEBより)

深センの不動産市況を調べるべく、30年ほど前北京から深センに出向いて起業した実業家、X氏を聞き取り調査しました。X氏はこの30年間、最初の短期間の賃貸以外、3回不動産を購入していると言います。1995年に約90㎡のマンションを90万元(約1620万円)で購入し、現在約10倍の1000万元の値段がついています。

そして2008年、すでに不動産価格が上昇し始めた頃ですが、3階建ての戸建てを約300万元(5400万円)で購入し、現在約800万元(約1億4400万円)の値がついていますが、居住用として使っています。そして昨年深センの中心的地域の福田区で、㎡当たり9万元で110㎡の投資用マンションを今度990万元(約1億8000万円)で購入していますが、物件が完売し、現在㎡当たり10万元で買いたい人が列を並んでいるとのことです。

X氏は初代内陸からの移民で実業家且つ夫婦共働きの資産家でもあるので、2、3軒不動産を持つのが普通だということです。近年上海特に北京当たりの資産家は北京のPM2.5に嫌味を指して挙って深センあたりにマンションを買い求めに来てお蔭で不動産は高騰していると言います。

深センの不動産価格は平均4~5万元/㎡で、100㎡にしても、400万元(約7200万円)は優にかかります、しかし、深センの人口も1000万人を超えましたが、新卒にしてみれば、年収7万~10万元(120~180万円)程度では、一生涯をかけてもマンションは買えない状況です。

前出滬深300(000300)」の純利益が全体の約8割で、9割に近い2500社が残る14%の利益を分け合うことは、上場企業と言えども、利益の確保はいかに難しいし、また実体経済がいかに低迷しているかをある意味裏付けていると言えます。

日本の不動産バブルに関する記事が随所に見られます。日本の二の舞になるのか注意深く見守りたいと思います。

 

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