上には上がある?

昨日は都内で新春勉強会を開催しました。新年の顔合わせもあって大勢の方々に各地からお越しいただき、歓談も含めて楽しいひと時を過ごすことができました。ご参加ありがとうございました。

2016年は株式市場にもブラック・スワン頻出の年でした。米国市場は昨日S&P500が下がりに転じ、ナスダック指数も7連騰を終え、今年に入ってから初めての下落となったのです。トランプ相場が続いたのには強いアメリカ経済が期待されているからです。

トランプ氏と言えば、最近話題になっているのは、アリババ創業者のジャック・マーとの会見です。ソフトバンクの孫正義とトランプ氏との会見と同じように、現地時間の9日、ジャック・マーがトランプタワーを訪ね、氏と約40分間会談しました。会談後二人揃ってロビーに現れて記者会見し、二人の間で「Great Meeting」をしたとした上で、「ジャック・マーは素晴らしい企業家で、世界においてももっとも優秀な企業家の1人だ。」と称賛し、「ジャックと僕とでこれから大きな仕事をする」と会談の意義を強調しました。ただの40分間の会談で、何故に初対面の中国の創業者を次期大統領の座につく人にそこまで褒めたたえさせたのでしょうか。

ジャック・マーは大学で英語を専攻し、その後英語教師として教鞭を取りましたので、二人の会談は通訳なしで、英語で直に交流していますので、40分間で相当中身の濃い会談だったと思えます。

その後明らかにされたところによると、ジャック・マーはトランプに今後5年間で、100万人の雇用を創出すると提案したことに氏は関心を示し、具体的にどうやって100万人の雇用を創出できるか詳細に訪ねたと言います。

それに対して、ジャック・マーは「アメリカの多くの中小企業を訪ねた。これら企業の製品は素晴らしいが、しかし輸出は非常に困難だ。なぜならまず銀行の信用は得られない。そして独自で貨物船や輸送機をチャーターすることもできない。彼らのグルーバル貿易を助けたい。中国など世界中に彼らの製品を広げたい。そのため、通関やECビジネスの政策などで貴方様の支援が必要だ」とした上で、中国は現在製造大国から消費大国に転換している最中だ。中国には中産階級が3億人もいる。やがてそれが5億人になる。中国には世界最大の輸入と消費市場がある。アメリカの中小企業と消費者にとってもこれは巨大な商機と現実的なマーケットだ」と応じたと言います。

ロビーでの会見を終え、トランプ氏が戻った後、続けて会見したジャック・マーは「トランプ氏は非常に賢い人で、ポジティブで私の考えを積極的に聞いてくれた」と氏に対する印象を語りました。

ジャック・マーとトランプ氏会談のちょうど一ヶ月前、同じトランプタワーで孫正義氏とトランプ氏が共同会見を行いました。孫さんからは今後5年間で500億ドルの投資をすると報道されましたが、一部の試算では、それに伴う雇用は約5万人だろうということですが、ジャック・マーからはいきなりその20倍の提案をし、トランプ氏の目を輝かせたということです。

というのも、2016年通年での米の新規雇用は約220万人で、それに対して中国の1企業が100万人も提案していますので、次期大統領と言えども関心を示さずにはいられなくなります。トランプ氏の選挙期間中の最大公約数は雇用を守ることで、ジャック・マーはまさに助け舟です。

トランプ氏の就任まで後一週間。すでに新聞では貿易戦と言う文字が躍っています。門戸を閉ざして国内雇用を守るのか、開放してアリババからの100万人雇用を迎え入れるのか、楽しみに見守りたいと思います。

 

 

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