基幹産業を狙え

日本はお休み(文化の日)の昨日(3日)、中国の五中総会で策定された第13次五か年計画の全文が新華社通信により発表されました。GDPの目標値は一部役人によるGDP至上論で、結果を見ない投資乱発という弊害で、今後もう発表されないのではと憶測されましたが、2020年までは毎年平均6.5%が必要だと明確な数値目標が出され、更に電力、通信、交通、石油、天然ガス、市政などこれまで自然独占の競争セクターを(外資や民間に)開放すること、人民元の自由兌換を実現すること、人口政策の一人っ子の廃止など重要政策が盛り込まれています。

そうした中で、投資家は今後5年、10年何を根拠に投資先を選べ、どれくらいの投資期間を決めれば良いか大方の関心するところで、基幹産業をキーワードに探ってみました。

これまで経済を支えてきたのは言うまでもなく伝統的製造業と不動産業でした。伝統的製造業は生産過剰で成長どころか、今後1、2年間潰れて消えてしまうところが続出すると考えます。不動産業についても、大都市を除いては同じように過剰な在庫を抱え、リサーチ機構によると、13億人に対して30億人分の住宅が全国で作られ、今後10年では消化し切れるか疑問視されています。

では、今後基幹となり得る産業とは、どのようなセクターが考えられるのでしょうか。ずばり、戦略的新興産業と現代サービス業、そして近未来製造業の三つなのではないでしょうか。

戦略的新興産業とは、例えば、新エネルギー、新素材、バイオ、情報技術、エコと省エネ、産業ロボット、新エネルギー(EV、ハイブリッド、太陽光発電)車、ハイエンド装備などが含まれています。

新エネルギーについて、風力、水力、太陽光など再生可能エネルギーが望ましいのですが、コストや持続可能性などの問題を抱え、短期間で解決できる見込みがないので、技術的には欧米などでも認められているのは原子力発電です。

情報技術については、ICチップのほか、インターネット+では、P2Pやクラウドファンディング、第三者決済など中国経済を語る上で欠かせない分野などが挙げられます。

現代サービス業については、すでに中国のGDPの50%を占めるようになった今、一人っ子対象や高齢者対象のサービスが今後も求められると考えられます。中でも消費、医療、金融、ビジネス、エンターテインメント(体験型)がこれからの世代が求めるサービスで先進国と比較した場合、最も伸び代のあるセクターだと考えます。

近未来製造業について、経済の構造転換が直面している最も厳しい部門とは言え、経済を支える根幹で、成功させる以外に選択肢はありません。今月2日、中国国産の中型ジェット旅客機の組立が完了し、披露式が日本のマスコミも取り上げていますが、命名されたC919のCはChinaの頭文字であるとともにAirbusとBoeingと並ぶ世界3番目の旅客機製造大国を目指す野心も盛り込まれていると言われるように、航空機製造に国を挙げて取り掛かるだろうと見られます。すでにトップセールスで日本やドイツなどとも競合するようになった高速鉄道や原子力発電所のように、投資家として中国製造にも目を向けなければならない時代だと考えます。

 

 

徐さんの中国株の最新記事