高地を制するものの勝ち

「極寒」の中で、203高地に上って初めて何故ここで激戦が行われたのかはよくわかってきます。旅順港を眼下に一望できてここを陣取れば軍港を手中に収めたのも同然だからです。

 

当社視察団は大連で「大連ソフトパーク(軟件園)」、瀋陽で「東軟集団」、天津で「天津創業環保」、北京で「金風科技」、「四環医薬」、「中国信達」の合計6社を訪ねました。

 

経済のリセッションと言われて久しいのですが、訪問先では、不景気など全く感じられませんでした。投資家を前にして都合の悪いことを極力伏せたいのも理解できないことでもないのですが、国家統計局は昨日(1日)、11月の製造業購買担当者景気指数を4ヶ月連続好不況の境目となる50を上回ったと発表しました。

景気の安定感を測る指標の一つとして注目されるもので、4ヶ月連続の上昇は2014年以来2年振りのことだと言います。

 

11月末、世界スマホ製造大手の第3四半期の業績が出そろいました。SAMSUNGのGalaxy Note7の発火 ・爆発の危険による製造中止とリコールの「お蔭」で、中国の華為(HUAWEI)のアンドロイド携帯がSAMSUNGを抑えて出荷量では世界一となったと伝えられています。

 

華為スマホの純利益も2億米ドルを記録し、誇らしい実績だと思いきや、よくよく調べてみると、2016年第3四半期の世界スマホ市場の純利益は凡そ90億ドルで、その内アップル社はなんとその91%に当たる85億ドルを「独占」していることが分かったのです。

華為の出荷量は世界一でも、利益はわずか2.4%だということになります。

 

今回の訪問で感じたことは、ソフトでも設備メーカーでも、または水処理の会社でも、一様に「ソリューション」と言う言葉を口にしています。

これまで製品の良さや独自性、他社との差別化を強調されがちだったのが、がらりと変わったことです。

「ソリューション」を通して産業並びにサービスの

高地を制圧しようとしているのが伝わってきます。

 

一つ一つ製品の良さは無論大事なことですが、製品の良さは製品の価格でしかその価値が反映されないのに対して、「ソリューション」に対してもっとペイ(対価)を支払っても良いという心理が働きます。

 

そのような意味で、アップル社はスマホの高地を制したのではないかと考えられ、華為やその他中国のスマホメーカーはスマホそのものでしかないことに、その純利益に克明に反映されたのではないでしょうか。

 

中国製造業構造転換の中での今回の投資視察。製造業の方向性が見えてきたと感じさせてくれた訪問だったのです。

 

 

 

<中国企業情報更新のお知らせ>

 

中国企業情報」を3か月単位で週一発信しています。9月3日に発信してちょうど3ヶ月となり、今週号で更新の時期を迎えます。新規のお申し込みを受け付けています。購読ご希望の方は当社HP「お問い合わせ」フォームからお問い合わせ・お申し込みください。詳細はこちらご参照ください。

徐さんの中国株の最新記事