HSBCもマイナス金利導入へ

ゴールデンウィークに突入しました。連休で旅行に行かれる方も多いかと思いますが、今から対策を立てようとする方には、参考になるだろうと思われる情報を一つお伝えします。

香港上海銀行(HSBC)は今年の7月から、同行のプライベートバンキング口座を持つ顧客に対して、その外貨預金の一部に対してマイナス金利を導入することになったと報じられています。

英字紙「The Standard」が28日伝えたところによりますと、HSBC香港はすでに現地の顧客に対して通知を発送し、顧客のユーロやスイスフラン預金口座の残高は規定の限度額に達した場合、HSBC香港としてこれら口座に対してマイナス金利を実施する可能性があることを伝えたと言います。

HSBCの報道官は、一部通貨の基準金利はすでにマイナスとなっており、われわれも市場環境に合わせて預金政策を修正し、また必要に応じて顧客に対してマイナス金利導入の弾力性を銀行に付与しなければならないと同紙の取材に対して語ったと言います。

マイナス金利の対象は、同行にプライベートバンキングの口座を持つ顧客で、マイナス金利は日割りで計算され、その後対象は銀行以外の金融機関にも拡大されることも示唆されましたが、しかし、マイナス金利は小売りや中小企業の法人口座まで拡大しないとの考えを示しました。

香港では、すでにスタンダードチャータード銀行が法人顧客のユーロ決済口座に対してマイナス金利を導入しています。現在、世界では、デフレ対策などで、スウェーデン、スイス、デンマーク、ユーロ圏と日本の五つの中央銀行がマイナス金利を実施しています。

マイナス金利の実効性について、国際決済銀行(BIS)は3月のレポートで、これは未知の領域と言える試みで、果たして思惑通りの効果が発揮できるかどうかの懸念を表明し、「マイナス金利が家庭や企業への貸し出しレートに反映されない限り、この政策の根拠は失われる」との疑問を呈しました。

一方、中国の中央銀行に当たる中国人民銀行の易剛副総裁は、3月の全人代の記者会見でマイナス金利について、「中国経済は引き続き中・高速の成長を維持しており、貿易黒字が拡大し、外貨準備も十分にあってマイナス金利を導入する根拠はない。また現時点ゼロ金利を実施する理由も見当たらない」とマイナス金利について否定的な考えを示しました。

世界70国と地域に支店を持つHSBCは3月に発表された2015年の本決算で、税引き前利益として188億米ドルを計上しましたが、市場予想の218億ドルを大幅に割り込んでいたことが明らかになりました。同社株価も一時20年来の安値まで下落しました。

同行は世界の主要な通貨圏で事業展開し、様々な金利が実施されています。マイナス金利についてはそれぞれの口座所有者に違う対応になることが考えられますので、担当マネージャーに確認された方が無難かと考えます。

 

 

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