IPOブーム冷めたか シャオミ発行価格下回る

米中貿易戦の影響を受け、世界の主要株式市場も懸念が示される中、IPOを敢行する会社があります。IT(情報技術)機器大手の小米科技(シャオミ)です。創業者兼董事長の雷軍は同じく香港上場の金山軟件 (キングソフト)の・・・

 

創業者兼董事長で、中国版「ジョブス」と言われる人物です。

シャオミの公募価格は17~22HKDで、発行価格は最終的に下限の17HKDでした。シャオミの応募倍率は約10倍で同じくユニコーンと言われる「平安健康医療」(1833)の650倍と閲文集団(0772)の620倍と比べてややIPOブームが醒めたのかと感じさせられます。

ユニコーン企業とは、企業としての評価額が10億米ドル(約1100億円) 以上で、非上場のベンチャー企業のことを言います。
シャオミはこの度香港で21億8000万株を発行し、240億香港ドルを調達することになります。
現在の時価総額は約550億米ドルで、同社が目指す1000億米ドルまでまだ相当な距離があります。
では、シャオミはどのような会社で、何を目指そうとしているのでしょうか。
株式公開前の同社投資説明会で、雷軍董事長は、「シャオミの評価について多くの投資家から、シャオミはテンセントのような会社なのか、それともアップルのような会社なのかと良く聞かれた。僕はテンセント×アップルの評価だと言いたい。何故ならシャオミはマルチ型(企業)だからだ、と自社の位置づけについてこのように評価しました。
IPO目論見書で、同社は自社のビジネスモデルについて、「ハード+ニューリテール+インターネットサービス」と定義しています。
しかし、同じく目論見書で披露した同社売上高の内訳を見てみると、ハードの売上高は約90%を占め、なかでもスマホ部門だけで805億6400万元、全体の約70%を占め、IOTと生活関連の売上高は234億4800万元で全体の20.5%、インターネットサービスは約95億元で同8.6%を占めていることがわかります。
2017年の同社インターネットサービスの粗利率は60%に達し、シャオミの粗利率に大きく貢献していることも事実です。
同社コーナーストーン投資家には、国家開発銀行傘下装備産業投資基金や天海投資、中国移動(チャイナモバイル)、中投中財(CICFH)、招商局傘下CMC Concord、保利集団傘下Grantwell Fundのほか、米半導体のクアルコム(Qualcomm)の七社が含まれます。このほか、雷軍董事長と個人的にお付き合いのあるアリババのジャック・マー会長、テンセントのポニー・マー会長がそれぞれ1億米ドルのほか、香港の大富豪、李嘉誠氏も3000万米ドル出資していることが明らかになっています。ほかにも、同じくインターネット企業を標榜する美図公司(1357)の蔡文勝会長も初期の投資家リストに名前が並べられています。

これだけ多くの実力者の「応援」にもかかわらず、シャオミの初値は発行価格よりマイナス2.23%の16.60HKDでスタートしました。昨年上場した衆安保険(6060)や閲文集団(0772)、易鑫集団(2858)の初日の取引で50%や倍以上の上昇と比べてやはり寂しいものです。それには訳があったのです。

 

 

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