外資と本土資金が入れ替わる時期

年金資金の株式への投資解禁が予想より早く先週末(23)日に発表されました。日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の株の運用比率は25%だと決められているのに対して、昨日の発表では上限が30%で、株式市場への投資運用は年末までにも開始されるだろうと見られています。 

市場の追い風とも見受けられたこういった施策は週明けの株式市場の下落を食い止めることができませんでした。「世界的恐慌」の様相も出てきたからです。 

株式市場でのこのような「恐慌」経験は1度や2度だけではありません。下のK線図をご覧ください。2007年2月からのハンセン指数のK線図です。上昇と下落の繰り返しです。下落の度は絶好の買い場であることがK線でも分かりますが下落の最中に身を置くとやはり勇気が必要となります。 

  ハンセン指数どこまで下落するか要注目 (ネット証券より) 

今回の下落の一因に人民元の切下げのほか、FRBの利上げも近いという観測もあると言われます。下落の度に市場から資本の流出が噂されます。しかし、ここ最近香港㌦の対米㌦為替は強行介入の上限いっぱいまで買われており、香港からの資本流出気配が見られないのが現状のようです。

一方、昨年後半から、資本大手のアリババが香港上場の会社4社に相次ぎ資本参加やまたは買収しています。内陸資本の香港進出が加速される傾向も見られます。 

七星購物(セブンスターショッピング/0245)を懐かしく思い出す投資家も多いのではないかと思います。上海近郊に本社を持つテレビショッピングの会社で、携帯電話などのテレビショッピング事業で一時大きく成長しましたが、ネット販売とテレビショッピングの法規制で赤字転落し、その後業績不振で株価も10セント以下で長期低迷していました。セント株とも言われた同社の株価は今年に入り、3か月間で6倍も上昇したのです。6月12日に重大な発表があるとして一時取引停止となりましたが、今月11日同社が増資の公告を発表し、民間投資会社最大手の中国民生投資有限公司が増資後の株式を71.07%保有するほか、内陸のPEなど業界の有名人がこれを引き受けることを明らかにしました。 

増資後の同社は金融業に転身し、現在も取引停止中ですが、再開後の株価の動きが要注目です。 

中国民生投資有限公司は昨年国務院の特別認可で設立された中国を冠した民間の投資会社で、民生銀行の董事長を務めた董文標氏が横滑りで同社董事長を務め、傘下企業が香港「東南国際」の58%の株式を取得したり、また「特変新能」のIPO前に資本参加したりして香港の資本市場への参入を早めています。 

七星購物は元々内陸資本の会社だったのですが、香港資本の会社で、金融や不動産以外、実業を伴わない所謂「殻の会社」は数多く存在しています。買収の噂が出る度、株価も何倍も上がってしまいます。このような殻の会社こそ本土資本の香港引いては海外進出の足場となっています。このような買収経由の海外進出は今後ますます加速されることでしょう。市場全体が「我慢」の時期ですが、外資と本土資金が入れ替わる時期かと考えます。

 

 

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