「中国の減速は、世界の経済危機と本質的に違う」

フランスのオランド大統領との朝食会で、レノボの柳会長に続き登壇したのは、万達(WANDA)集団の会長、中国長者番付で今年再び一位の座についた王健林でした。司会者のジャック・マーは「次のご紹介するのは、私の尊敬する企業家で、私と彼とは毎日競争し、毎日喧嘩しているが、しかし、彼は革新的モデルで中国のイノベーションの長者として長者番付の一位に長期間君臨している。その彼とは王健林のことだ。」とこのように王健林を紹介しています。 

壇上に上がった王健林は、「本日、CECから中国経済についての演題を与えられた。これだけ大きい課題なのに、振り分けられた時間は数分しかない。なので、次の三つで話を纏めたい。一つ目は、中国経済はいま困難に直面し、減速が現在も続いている。今回の減速は私の判断では、あと2年から3年は続くだろう。一部の学者では、来年はよくなるだろうと判断しているようだが、その判断は事実から大きくかい離したものだと思う。これからさらに2~3年、挑戦に立ち向かわなければならない。その原因とはつまり今日取り上げたい二つ目の話題である。 

中国経済の困難は自ら構造転換を行うことにより生じたもので、ここ10年2度にわたって世界で発生した経済危機とは、本質的に違うものだ。中国はいままでの成長構造を転換させようとし、経済をけん引してきた投資第一、輸出第二、内需第三という政策を転換させようとしている。かつて投資はGDPの50%を占めていたが、いまは投資を縮小し、輸出も減らしている。投資と輸出が成長への貢献でいずれも減少している。内需関連のGDPへの貢献度は2ポイントほど高くなっているが、投資と輸出の減少による差を補うところまで行っていない。従って中国経済は毎年、1ポイントや2ポイントほど下がっている。 

例を挙げると、過去20年の投資の伸び率は毎年、前年比で20%を超えた。近年は10%前後を維持している。その投資が減少したら、経済は当然減速になるだろう。しかし私に言わせると、世界で発生した経済の減速や危機とは違い、例えば、アメリカの経済危機は内生的要因で生じたもので危機は止む無く生じたものだ。例えば、サブプライムローンにより生じた金融危機はアメリカのみならず、ヨーロッパの国々にも影響を与え、EUの経済減速も余儀なくされた。しかし中国の当面の減速は自ら(構造転換を)進めようとしたことにより生じたもので、中国のサービス業が今後3年から5年間の調整で、GDPへの貢献度が3分の2以上となった段階で、中国経済は困難な状況から脱皮するだろうし、順調に経済も伸びるし、貿易摩擦も減少するだろう」 <続く>

 


視察団 中国金融投資管理有限公司訪問(2015年11月5日)

 

 

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