「直感で取り上げることに」

昨年末内陸からの資金が香港市場に流入し、中国系企業の株価が年初来高値更新も続出しています。

自動車セクターに関して、例えば、吉利汽車(0175)は68.69%、広州汽車(2238)は46.48%、和諧汽車(3836)と長城汽車(2333)はそれぞれ30%以上高騰しています。不動産セクターに関しては、例えば、雅居楽(3383)は67.34%、新城発展(1030)は57.86%、富力地産(2777)、融創中国(1918)、中国恒大集団 (3333)などの上昇幅もそれぞれ40%を超えています。

その中でも、一際目を引くのは上場時8.5HKD、当社「中国企業情報」を取り上げた時、8.8HKDだった株価が3月17日、わずか2ヶ月で倍以上の18.00HKDまで跳ね上がった美図公司(1357)という若い会社です。

いうまでもありませんが、中国からの資本に買われています。

昨年末から香港市場には次のような変化が起きています。

一つは、香港市場の時価総額に占める中国企業の割合が急増したことです。2月末まで、中国系(H株219社、レッドチップス153社)企業372社の時価総額は11兆HKDで、メインボード時価総額の約42%、出来高は9618億9000万HKD、メインボード出来高の約51%を占めるようになったこと。

そしてもう一つは内陸からの資金の急増です。香港証券取引所では現在2016年の統計を纏めているところですが、2015年内陸投資家の割合は約9%だったのが、2016年には20%まで急増するだろうと推測されます。さらに今後3~5年間で、内陸投資家の割合は香港市場の50~60%まで膨らむだろうと業界筋は指摘します。

「外資系エコノミストやアナリストは電動自転車を見たこともないので、内陸でどれだけ需要があるのか理解するわけがない。電動自転車用のバッテリーを作る会社を評価しろと言っても無理がある」と関係者は指摘しながら、中国系のアナリストはその需要を理解しているので、中国からの資本流入に伴い、これらの会社も(中国系機関投資家に)買われるだろうとの見通しを示しています。

「美図公司」を「中国企業情報」で取り上げた理由について、テンセントの企業価値が市場に認められ始めた2009年ごろのエピソードをご紹介しました。同窓会に参加するため一時帰国した私は当時小学生から大人までテンセントのSNSアプリQQを楽しんでいるのを目撃したのです。それからというもの、テンセントはWe Chatを開発し、オンラインしたらあっという間に億単位でユーザーを獲得したのです。

アプリの魅力を感じた私ですが、世界中で11億ものユーザーを抱えているという同社(美図公司)目論見書を目にした時に、これを「中国企業情報」で取り上げなければと直感で動いたのです。
<続く>

 

<中国勉強会のお知らせ>

第19回中国投資視察団が本日上海向け出発しました。杭州では2社を、上海では「山東羅欣」を含む3社の合計5社を今回訪ねてきます。中国経済の現状や訪問企業の様子を次回の中国勉強会でご報告します。開催は4月6日(木)です。関心のある方はどうぞご出席ください。

 

 

徐さんの中国株の最新記事