「米中間で貿易戦をすべきではない」

アリババのジャック・マー会長とトランプ氏との会見の話の続きです。

Q:中米関係をどう見るか、中国は為替操作国だという氏の発言にコメントを

米国には言論の自由がある。言いたいことは何でも言うだろう。これを尊重しまた理解する。我々は中米貿易や為替操作などについて議論はしなかった。しかし我々は共通の認識に達したことがある。中小企業の支援や中西部の開発、その商品を中国に輸出することだ。アメリカの雇用がメキシコや中国に奪われたとかについては、議論はしていない。

しかし、アメリカの雇用の機会が(他国)奪われたのではなく、戦略的に間違っていることだと思う。

これについて私見をぜひ皆様とも共有したい。

30年ほど前、大学を卒業した頃、アメリカは製造業をメキシコや中国に、サービス業をインドにアウトソーシングし、知的財産権とハイテク、ブランドだけを牛耳るという素晴らしい戦略を取っていると伺った。トーマス・フリードマンの「フラット化する世界」を読んで、その雄大な世界戦略に陶酔したことがあった。

アメリカの大企業はグルーバル化で億や兆単位の稼ぎができた。マクロソフトやシスコシステムズ、IBMなどの時価総額は過去30数年で100倍を超えた。これらの企業が稼いだ儲けはどこに消えたのか。ビジネスマンとして私はこれ(バランスシート)に関心がある。

過去30年間、アメリカが13回にわたる戦争で14兆2000億ドル軍費を支出した。これら資金の一部でもインフラ整備に使ったり、ホワイトカラーやブルーカラーの支援に使えたりすることができたら状況は現在と大きく変わっているはずだ。

小さい頃からフォードやボーイングの名前を聞いて育った。しかし過去の20数年、シリコンバレーやウオールストリートばかり聞かされている。資金はウオール街に流された。2008年の金融危機で19兆2000億ドルが蒸発し、世界で3400万人の雇用が奪われたと聞く。これらの資金を中西部にほんの一部でも投入できたら今と全く違う結果となったことだろう。したがって雇用が奪われたのではなく、アメリカの世界戦略に従って資金が合理的に配分できなかったことに原因があるのだ。

Q:グルーバル化から孤立主義に逆戻りの傾向が

グルーバル化はいいことだと思う。アメリカはまさにどうやってグルーバル化を進められるかを教えてくれた国だった。2001年WTO加盟の際、世界中のブランドが中国に押し寄せて来たら民族産業がつぶされ、我々も全員失業するのではないかと心配したが、アメリカは我々を説得してくれた。しかし20年後、そのアメリカにグルーバル化は怖いものだと主張されてしまう。私は、グルーバル化はいいことだと思う、しかしこれを最善化しなければならない。これがトランプ氏にとっての課題だろう。グルーバル化は世界の国々が恩恵を受けるものでなければならないと思う。

Q:米中間で貿易戦になるとアリババは影響を受けるか

中国とアメリカとは貿易戦をすべきではない。今後もだ。戦争を起こすのは簡単だが、終わらせるのには大変困難だ。終わらせることができない可能性だってある。イランやアフガニスタンでの戦争が終わったと思う?貿易はコミュニケーションでもあり、貿易が止まると世界も困難に陥るだろう。

世界一位と世界二位の国同士が貿易戦などでも始まったら世界にとっても災いとなるだろう。アリババのビジネスモデルを潰したら米中貿易戦を回避することができると言うなら、私は喜んでアリババを潰すつもりだ。<了>

 

 

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