「群集行動」の反動

御祝儀相場を期待する投資家には、がっかり連続のスタートでした。世界市場が共に下落し、地政学的リスクが伴い連続の下落が現在も続いています。

今年初の『徐さんの中国株』のタイトルは「未熟から成熟へ」とつけて、2015年の市場を振り返る時の感想として纏めましたが、その未熟さを露呈した事件が新年早々にまた起きています。

投資家保護という目的のはずだった「サーキットブレーカー」制度が適用して4営業日の間、4回も発動され、昨日(7日)、取引開始後わずか30分で、7%というルール(規則)に引っかかり、結果規則通り終日の取引をわずか1時間未満で終えざるを得ない事態となりました。

サーキットブレーカー制度はアメリカの同制度に見習い、昨年9月に証券委と各証券会社で検討を行い、12月に詳細が発表され、2016年1月1日から発効されたものでした。市場の乱高下を遮断し、冷却期間を設けようと、上海深セン総合300(CSI300)指数が上下5%変動の場合、15分間取引停止を、上下7%になった場合、取引時間内でも、証券取引所はその日の取引をすべて停止にすることができる制度でした。

しかし、これを適用した初日(4日)の取引で、外部(年末の米国と年明けの日本)市場の下落で、いきなり発動され、午後取引時間を1時間以上も残してその日の取引停止が宣告されました。その連鎖で日米欧の市場が

共に下落の中迎えた7日の前場で取引開始後わずか15分で、5%ルールが、再開後、2分間で7%のルール(指数が7%下落)に引っかかり、終日の取引終了が再び宣告されました。

中国本土市場には、日本と同様10%の上げ下げでストップ高ストップ安というルールがあって、サーキットブレーカー制度の採用当初、10%ルールがあるので、5%・7%ルールは必要がないのではと疑問視の声が上がっていましたが、監督官庁には届かず、結果1月1日からの適用となりました。

疑問視理由のもう一つには、80%以上も個人投資家というマーケットでは、企業のファンダメンタルズの研究や個人の投資判断よりも「群集行動」(Rational Herding)が働き、上がると一斉に買い、下がるとろうばい売りという行動に走りやすいからだということです。不幸にもその指摘が的中し、適用後わずか四日で、昨晩、上海、深セン証取と金融先物取引所の3者が同制度適用の暫定的中止を宣言せざるを得ない事態となりました。

市場統計によると、過去2000の取引日で、CSI300指数の変動幅が5%を超えた日は105日もあり、平均して20営業日に一回5%ルールが発動される計算になります。流動性が何より重要なマーケットで取引が強制的停止したままでは、市場機能が麻痺してしまう結果になります。

実体経済が減速の中、安定的で強い市場が構造転換や不動産市場のソフトランディング、地方債務危機の回避などにとってなくてはならない存在です証券委の迅速な対応もまた曾てない行動です。IPOの審査制から登録制への移行など「群集行動」よりも投資家にとって投資の自己責任がこれまで以上に問われ、投資家も監督官庁も成熟に向けて更に一歩近づくことでしょう。

 

 

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「群集行動」の反動」への2件のフィードバック

  1. SECRET: 0PASS:検索してたらたどり着きましたヽ(´▽`)/私のブログで何か一つでも共感してもらったら嬉しいです♪読者なりますね♪またきます♪ヽ(*´∀`)ノ

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