インサイダーもレバレッジも封じ込み

第13回京華投資視察団は7泊8日(11月5日~12日)の日程を終え、先週の木曜日(12日)無事帰国しました。中国産業界の代表、同時にまた上場企業の代表格企業の創業者の声を聞いてもらおうと、視察旅行の期間中、レノボの柳伝志、アリババのジャック・マー、万達の王健林、復星集団の郭広昌などのスピーチを四回に渡って取り上げました。

読者のS様からは「来月の米国の利上げで若干変動はあるかも知れませんが、中国本来の成長軌道が再確認化されれば香港市場も落ち着きを取り戻しそうです。

最近のプログは大変いいですね。現代中国の産業界を代表するリーダー達の生の声、改めて頷く視点の提示があって大変参考になります。こうした紹介を沢山していただけると助かります」と早速メッセージをお寄せいただきました。ご参考になれること、大変嬉しいです。

しかし、帰国後の週末には、株式市場や中国経済を巡る重大な出来事が相次ぎ生じています。投資家にとって決して他人事ではありません。

その一つに、中国証券監督管理委員会(CSRC)№2の姚剛副主席(副委員長)が「重大な規律違反」で中央規律委から調査を受けていることが発表されたことです。これが今年夏以降の中国株の暴落以来、「調査を受ける」役人の中で最上級クラスの人物で、インサイダー取引を含め、中央規律委の調査はいよいよ最高幹部まで手を伸ばし、株式市場の透明化を図る指導部の決意の表れだと見られます。

調査を受けた理由の詳細についてはまだ公表されていませんが、一部報道では、その立場を利用して「海外勢力」と手を組んで夏以降の中国株大暴落に便乗して市場で悪質な空売りを仕組んだということです。

姚氏が調査を受けるまで、CSRCの主席補佐を務めた人物(張育軍)が9月に調査を受けていることが明らかになっています。

更に遡って、中国のゴールドマン・サックスとされる中信証券のCEO以下、マネージャークラスの役員、管理職10数名が連行され、また中央規律委の調査の最中、昨年上場したばかりの「国信証券」のCEOが先月23日、自宅で自殺したと報じられています。

こうした国有資本参加の証券会社のほか、私募ファンドのボスとされる人物(徐翔)も今月1日、連行されたことで業界で波紋を呼んでいます。

これら一連の「調査」、「連行」には共通したとされる原因があります。それはその立場を利用してインサイダー取引を行った疑いがもたれていることです。

CSRCの姚氏と張氏は、この夏の中国株の大暴落の際、暴落を食い止めようと国家資金を動員して市場を買い支える陣頭指揮を執る人物で、中信証券や国信証券はいずれも買い支えの実行部隊だったのですが、市場よりも個人や企業の利益を優先し、その立場で得たインサイダー情報を利用して不正に利益を上げたとされています。

そしてもう一つ、重大な出来事ですが、同じく13日に、上海と深センの証券取引所は融資と信用取引細則を修正し、証券会社から融資を受けるレバレッジ(倍率)をこれまでの50%から100%まで引き上げたことです。これまで100万元の自己資金で上限200万元(2倍)まで融資を受けられたのですが、11月23日からの修正細則では、100万元の自己資金の場合、上限100万元(1倍)までの融資を制限されることになります。

いずれも市場を「正常に戻す」措置ですが、身から出た錆(ウミ)を剥がすことによって、健全な市場が取り戻されることが期待されています。

 

 

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