投機筋に市場心理を左右させてはならない その1

    成長のエンジンは?

ブラック・スワンの頻出で市場心理が冷え込み世界市場が暴落に直面しています。世界経済の先行きを占う意味で各国中央銀行総裁や議長の発言が特に注目されています。マイナス金利を発表した黒田総裁は更なるマイナスもあり得ると示唆し、イエレンFRB議長は次の利上げに関して慎重の見通しを示したことにより、株式や為替、債券などの市場が大きく変動したりしています。

それに対して、中国の中央銀行(中国人民銀行)の場合、報道官が出て発表したりすることはあっても、総裁がメディアの取材を受けたり、自らテレビに出て発言したりすることは滅多にありません。

昨年末から、「ソロスの再来か」と思われるヘッジファンドによる人民元の空売りの兆候が見られ、国内市場とオフショア市場の人民元の為替に大きなかい離が生じました。米の利上げに伴い、国内景気後退で資本流出の噂が広がり国内投資家も手元の人民元を米ドルに替えたりして、人民元はしばらく元安に向かうだろうという見えない流れ(センチメント)になりつつあります。昨年11月まで3兆9000億米ドルに上る外貨準備高が先月、約3兆2000億ドルまで減少したこともこのことを裏付けています。

そうした中で、中央銀行の周小川総裁は春節お休みの期間中、香港のメディアのインタビューを受け、元安や中国経済の先行きについて語り、ヘッジファンドの元売りについて、「投機筋に市場心理を左右させてはならない」と異例とも取れる発言をしました。周総裁の発言を受け、今月8日から続いたドル安元高は15日、一段大きな上昇となりました。

周総裁はどんな発言をして(為替)市場の流れを変えさせたのか、今後の経済の見通しを含めてその発言を要約して取り上げました。

(以下、Qはメディア、Aは周総裁)

Q:中国経済の先行きに対して見方が分かれている。その判断が人民元の為替レートに対しても影響を及ぼしている。どう見るべきか

A:経済情勢やマーケットについて見方が分かれていることは事実だと思う。中国経済について全面且つ客観的に認識する必要がある。中国経済は総じていえば、合理的空間にある。世界経済とグローバル貿易の減速、国際金融市場の急激な変動の中、2015年中国経済は依然6.9%の成長を維持できた。

これは世界的に見ても高い成長率だ。中国の成長率の変化はグローバル経済の成長鈍化に起因することもあるし、中国政府が自ら進める構造調整の結果でもある。これは中国経済の持続的、高品質の成長に寄与するもので、世界経済のリバランスにも利することだ。中国経済は今後構造的改革、とりわけ供給者側構造改革を重点的に進め、経済成長と構造調整、リスクコントロール三者のバランスを取りながら安定的成長を達成していくことだ。

Q では、中国経済成長のエンジンはどこにあると思うのかA 国民の貯蓄率は依然高く、高い投資が今後も継続されるだろう。中国の高い投資の一部は海外への投資だが、国内投資と比べたらまだまだ低いレベルだ。貿易の比較優位は一部移転したものの、構造転換とアップグレードにより、中国製造には、依然大きな優位性がある。製造業の短期間の調整は環境保全のための要素もある。サービス業のGDPに占める割合は43%から2015年の50%まで増えたがまだまだ増える空間がある。このほか、民間資本の市場参入に制限もあったが、すでに緩和措置を取り、解決しつつある。大衆創業にも大きな潜在力がある。 <続く>

 

 

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