投資家にはマクロの情報も

「徐さんの中国株」はこれまでマクロの視点で中国経済並びに株式市場を見てきました。とりわけ数字やデータを取り上げるように心掛けています。数字やデータは何よりも説得力があるからです。

例えば、中国証券登記決済有限公司が毎週直近一年で取引のある証券口座の統計速報を公表しています。最新の発表で、今年1月23日から2月3日までの統計を見てみると、取引があった口座は4993万6100であることが判明されています。5000万口座の大台を割り切るのは2015年6月以来のことです。2015年6月と言えば、上海A株指数が2007年以降8年振り最高の5178.19ポイントを記録した時です。取引実績のある口座数も同年6月に初めて5000万口座を突破し、買えば儲かるという投資ブームが沸き起こり、口座数も急増しました。「幽霊口座」も含めて上海、深センを併せて1億1800万口座も開設されていますが、6月から以降は中国A株市場が暴落をはじめ、2016年1月まで指数が下落を続けました。それでも取引のある口座数は5000万をキープしましたが、ここに来て20ヶ月ぶりに5000万を割り切ったのです。投資家の市場離れはそれなりの理由はありますが、投資の神様、オマハの賢人、ウォーレンバフェット氏の名言に「みんながどん欲な時に恐怖心を抱き、みんなが恐怖心を抱いている時にどん欲であれ。」とあります。

貴方ならどのような行動をとるのでしょうか。

さて、「徐さんの中国株」はいよいよ4月から有料化されますが、どのような情報を取り上げる予定なのでしょうか。これまで発信した企業情報のその後を一つ例にして今後の発信を予想してみましょう。

2016年6月15日、当社「中国株エクスプレス」で、スマホのカメラモジュールをつくる丘鈦科技 (Qテクノロジー/1478)を取り上げました。その後視察団で上海近郊で同社を訪ね、説明してもらって工場も見学させてもらいました。同社は上場間もないこともあって投資家への対応(プレゼンテーション)もたどたどしいところが見えました。

同業界では、上場会社だけでも「舜宇光学」(2382)、信利国際(0732)、欧菲光(深セン上場/002456)などがあり、競争が激しい業界でしたが、同社は800万画素以上の、ミドル・ハイエンドマーケットだけを狙い、聯想(0992)やZTE(0763)、酷派(2369)などスマホ世界上位10社に数えるメーカーに納入し、業績も順調に伸びていましたが、時として上海市場が大暴落し、それが香港市場にも伝導し、中国関連株が一様に低迷を続けました。更に主要納入先の「酷派」の経営権を巡る争奪戦が明るみになって、経営不安定でスマホ上位から転落し、それが同社業績にも影響し、「泣き面に蜂」とはこういうことかと思われるくらい、同社株価も低迷を余儀なくされました。

そのQテクノロジーは先月、2016年12月の業績予告を発表し、50%以上増益の見通しを発表しました。同時に発表された同社上位5位の納入先に、VIVO、OPPO、華為、ZTE、シャオミーなど世界でも上位に並ぶスマホメーカーで、納入先の変更でも同社業績に寄与したものと見られ、株価は昨年8月の1HKD台から今週上場後最高値の6.08HKDまで買われています。

では、このQテクノロジーはどんな感じの会社なのか、次回ご紹介します。

 

 

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