授業料を払ったが

ジェットコースター相場を経験し、「ナショナルチーム」が出動して、中国株式市場は安定に向かうようになっています。 

市場が大暴落してレバレッジを最大限に使った人が自殺したという報道を見て、市場の動きを軽く見た人に教訓を与えただろうと思いきや、9日の市場の反騰を見てそれまでのソンを挽回しようと再度レバレッジに手を染めた人が続出したという続報を目の当たりにすると、欲に負けてしまう人間の弱点が見えてきたような気がします。 

今回の中国株大暴落の原因について、大方「場外配資」(証券会社以外での融資を受けた証拠金取引)による強制決済で売りに売りを誘ったものだろうと、専門家やマスコミ、役所が意見を一致しております。 

更に言うと、個人投資家が8割を占める市場で、噂だけでも買い一辺倒や売り一辺倒になる傾向が強く、今回の危機は早かれ、遅かれ起きることだろうと見ていました。 

昨年6月、第7回京華投資視察団で深センを訪れた際に、香港のマスコミ数社が同行し、「直通車」についてインタビューを受ける際に、ディスクロージャーやコンプライアンスという観点でも、A株よりもH株をお薦めする。また特に深セン創業版などかなりバブル的要素があり、要注意であると申し上げています。 

しかし、その後上海A株指数が2000P台から最高で5167.81まで高騰しましたが、それでもH株への投資判断を変えることはありませんでした。 

先週の暴落で、上海深セン両市場の取引停止銘柄は50%超の1400社を超えましたが、本日359社が取引再開を取引所に申請したということです。 

依然取引停止中の銘柄の内訳(括弧内はそれぞれのボードに占める割合)を見てみますと、深センメインボードの会社は196社(42.2%)、中小企業ボードの会社は435社(56.8%)、創業版は239社(49.4%)で、取引停止の多くは中小企業版や創業版に集中していることが明らかになっています。今回の暴落の引き金になっているのは創業版で、暴落幅の大きいのもまた創業版になります。 

今年の5月創業版の平均PERはすでに125倍になり、個別銘柄になると、1万倍を超えるものも出る異常事態になっています。 

そうした中でも、政策的に香港にお金をシフトさせるような施策が相次ぎ打ち出され、今年の後半は香港株の出番だと見ております。 

今回の政府による株式市場の下支え策は市場経済の原理から乖離するところが多くあったと思いますが、非常時の非常対策かと考えます。 

役所も大いに反省するところがありますが、授業料を払った投機家もこの教訓を生かさないと再度のヤケドも免れないと思います。成長途中にあるマーケットの特徴の一つでもあると考えます。

 

 

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