時代の流れに的中  金蝶国際株価6倍以上も

 美団点評(3690)は上場して2年未満、このコラムで取り上げてから株価は約3倍上昇しましたが、時代の流れとして将来的に必ず成長していくと読んで、当社京華投資視察団を組んで、2017年6月に訪問した会社があります。金蝶国際(0268)です。訪問時の株価は3HKD台前半でしたが、先週金曜日(10日)同社株価は19.3HKDと訪問時より6倍以上も上がり、初期投資をされた方は微笑んでいるだろうと容易に想像されます。

 同社訪問の前と訪問してから、このコラムで10数回取り上げ、その後の動きをフォローしてきました。今日は2017年6月28日付の「徐さんの中国株」――「金蝶国際ーークラウドの伸びは100%だが」を公開します。ご参照ください。

              金蝶国際ーークラウドの伸びは100%だが

 ウォーレン・バフェットの率いるバークシャー・ハサウェイがBYDに投資した理由について、BYDがニューエナジーカーのメーカーであるより先に、創業者の王伝福に投資したものだと、パートナーのチャーリー・マンガーが言います。では、金蝶国際軟件(0268)の創業者はどんな人物で、同社「金蝶クラウド」の伸びしろはどれくらいあるものでしょうか。

 金蝶国際軟件創業者の徐少春は1963年生まれの54歳。1983年南京工学院(現在の東南大学)計算機科学と工程学部を卒業した後、当たり前のように就職しましたが、2年後財政省傘下科学研究所財務電算化大学院コースに進学し、税務署勤務を経験した後、1991年同社前身深セン愛普電脳技術を創業しました。

 その2年後、初代財務ソフト、「愛普財務」の開発に成功し、深セン市財政局より深セン会計電算化の国産化製品として認可されました。

 より多くの企業に使ってもらうため、1993年地元蛇口工業区社会保険公司と共同で「金蝶軟体科技(深セン)有限公司」を設立しました。当時のパソコンはDOSが主流で、Windows版のソフトは皆無でした。そうした中で、Windows版の需要を予測し、会社設立後いち早くFor Windows1.0の開発に取り掛かり、その一年後に開発に成功し、中国ソフト評価センターという評価機構より中国初の優秀Windows版財務ソフトというお墨付きをもらいました。

 Windows版財務ソフトの使いやすさなどから当時主流のDOSからWindowsへの転換が一気に加速され、まったく無名の同社も北京を中心とした「用友」とともに財務ソフトの市場を揚子江を境にして「北方は用友、南方は金蝶」と言うように天下二分化したのです。

 財務ソフトからスタートした同社ですが、1997年から意思決定支援システム、Decision support system;DSS)に方向転換し、製品からサービスへと当時の中国では、まだ珍しい発想の転換で成長を維持していました。

 そして2001年、民間ソフト開発企業の第一号として香港GEM市場に上場し、国内ソフト企業の買収に動き出したのです。この時期に、ソフトの販売と同時にクライアント企業の成功を支援するという社是を打ち出し、ERPは七割が汎用品で、二割が業界特徴、一割は企業別ニーズだとした業界法則を初めて提唱し、のちに業界共通の認識となったのです。

 2005年GEM市場からマザーボードに鞍替え、資本市場でも注目される存在となりました。

 製品からサービスへの方向転換をした後、2012年からオフラインのERPをオンラインのクラウドへと構造転換をさらに進め、クライアントには、コカ・コーラ―やテンセント、HUAWEI、ランドローバー、ジャガーなど有名企業を抱えるように順調に推移しています。

 「ERPに関して世界的にはすでにSAPやOracleが標準化しているが、競争力があるのか」という視察団参加者の質問に対して「世界共通言語で統一されている為、必ずしも現地企業のニーズに完全に合っているものではない。当社の場合、価格のみならず、企業のニーズに合ったOEMで開発しているので、企業のDNAからでも強みがあると考える」と黄マネージャーは答えてくれました。

 同社はクラウドの売上高を2020年までに現在の2割弱から5割まで高めることを目標としていますが、クライアント獲得の営業には経費も掛かり、直近1~2年の純利益には影響が出るだろうと率直に語ってくれました。

 創業者は業界一筋で、今までの方向転換は業界でも市場でも評価されていますが、4度目の成功も期待されています。

 なお、ご参考に、中国B2C最大手の米上場の京東(JD)は2015年5月一株当たり4.6HKDで同社株式9.79%(約13億2700万HKD)を取得して現在に至っています。(了)

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