株主争奪戦 万科の行方は

不動産最大手の万科企業(2202)の株価はここ最近急騰しています。AH同時上場している企業の中で、数少ないH株の方が高かった万科もここに来てA株に逆転され、A株の株価は連日ストップ高を演出しています。不動産市場に春が訪れようとしているのでしょうか。

国家統計局の最新データによると、11月の不動産在庫面積は前月より1000万㎡、昨年同期より1億㎡増の6億8600万㎡で、通年の販売面積は約12億㎡の見込みで、現在の在庫の完売は少なくとも7か月を要すると言います。計画または建築中の面積は約40億㎡あると試算されますので、完売にはこれから最低24ヶ月は必要だろうということです。

そうした中での万科株価の高騰には、筆頭株主を巡る争奪戦が密かに展開されている背景があります。

経営権を巡り、大塚家具の株主争奪がまだ記憶に新しいことと思いますが、親子というファミリーの中ではなく、同業他社という企業同士の争奪が白熱化しています。

すでに当社「京華メルマガ」で速報していますが、深センに本社のある宝能グループは、今年の1月から傘下の前海人寿(生保)経由、万科のA株を密かに買い始め、7月10日時点で5%を超える大株主となり、そして2週間も経たないうちの7月24日まで持ち株比率を10%まで引き上げ、さらに、一か月後の8月26日に15.04%まで買い増しして、大株主の華潤グループを超える筆頭株主となりました。

慌てた華潤グループは市場で買い増しをし、一時筆頭株主の座を確保しましたが、3ヶ月後の11月27日、宝能グループは傘下の鉅盛華集団経由2364万株を買い増しして持ち株比率を華潤グループの15.23%をわずかに超える15.254%まで確保して再度筆頭株主となり、それからというもの、連日のように買い増しを続け、今月初めに、ついに20.008%を持つ大株主となり、宝能グループは何としてでも万科を傘下に抑えたいという「野心」を内外に示しました。

「京華メルマガ」で同社の動きを取り上げた2日後の先週水曜日、深セン証取は公告を発表し、12月11日時点で、宝能グループは再度52億元(約1000億円)を投じて、万科の株を2億7000万株買い増しして、持ち株を22.45%まで引き上げていることを明らかしました。

こうした「敵対買収」に対して、昨日(17日)、万科の王石会長は、社員への内部談話を公開し、宝能グループが同社筆頭株主になることを「歓迎しない」ことを表明し、その理由としては「宝能グループには信用力が足りないからだ」としています。

この原稿を書くために資料収集している最中に、万科は「重大な再編及び買収のための新株発行」を理由に深セン及び香港証取に取引停止を申請したという情報が入りました。同社を巡る株主争奪戦はまだ始まったばかりです。

 

 

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