資本の駆引き――万科その後

「宝能グループには信用力が足りない」として、自社株を22.45%まで買われ、筆頭株主に躍進した宝能グループに対して、万科の王石会長はいち早く「歓迎しない」ことを表明しました。

「敵対買収」の相手に対して不信感と不快感を同時にあらわにしている王石会長にしてみれば、時価総額2500億元、総資産が数千億元の万科にとって、売上高が数十億元の宝能グループはしょせん成金的存在でそもそも同じテーブルにつく相手ではなかったものと言われます。

今年の夏、宝能グループが万科の株、10%超を市場で買い漁ることが公になり、宝能グループの買収意図も明らかになってから、王石会長は宝能の姚会長を呼び、自社株の買い増しを断念するよう直談判しました。当然のことですが、談判は物別れになり、11月には、15%、今月初めには20%超まで保有されるようになりました。

これに対して、自社株を持っていない王石会長にできることは、戦略的パートナーの華潤集団(持ち株15.23%)に働きかけることとご自身の影響力で個人株主に対して支持を訴えることでした。そして18日、事業再編、買収、割当増資などを理由に取引停止を申請したことです。

王石会長の宣戦布告とも取れる声明――内部談話の公開に対して、宝能グループは「当社は法律を遵守し、規則を尊重するとともに、マーケットの力を信じる」との声明を発表しました。

万科の取引停止になった18日、中国不動産最大手だけあって、証券委の定例記者会見で同委報道官は質問に対して「マーケットのことは法律に合致しさえすれば、監督官庁としてこれに干渉することはない」として静観する立場を表明しました。

一方、時価総額2500億元超の万科の株、22%超を保有するのに、550億元の軍資金が必要となりますが、売上高が数十億元の宝能グループにとって、どうやってこれだけの軍資金を集められたのか、レバレッジのルール違反はないか、深セン証券取引所から宝能グループに対して16日資金の出所に関する質問状が叩きつけました。これに対して宝能からは回答をもらい、自社資金を担保にした信用資金、傘下生保の保険資金、万科株を抵当にした資金、その他ファンドなど、資金源は法的規制のギリギリのところまでであることを明らかにしました。

万科王石会長の反撃を勇気づけられているのは、宝能グループの軍資金にユニバーサル小額短期保険金や理財商品など償還期限の短い資金も入っていることが判明したからです。

事業再編や買収計画は最短で一ヶ月、最長で3ヶ月取引停止が可能ですが、当然のことながら、その間、売りも買いもできないままになります。万科の再編、買収、増資計画はどのような内容なのか、宝能グループの資金調達はどこまで確保できるかは争奪戦勝敗の決め手となりそうです。

中国のマーケットも資本がものを言う時代に入りつつあります。

 

 

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資本の駆引き――万科その後」への1件のフィードバック

  1. SECRET: 0PASS:お初です☆色んなブログ巡回していたらたどり着きました☆こうやって知らない人とコミニケーションできるのっていいですよね♡私は昨年度から人生が激変したことを中心に書いています!よかったら見に来てください☆

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