監督理念の違うマーケット

「セント株」を活用した財テクはいとも簡単です。10株を1株に縮小すると株価は10倍跳ね上がりますが、持ち株は10分の1に減ってしまいます。しかし大抵業績の伴わない会社はこの手を使うので、その内株価がまた下がります。会社の「前科」を知らない投資家は安いからと言ってまたこれに投資をし、既存株主もここまで下がったらとついナンピン買いをかけてしまいます。

一方、これとは反対の手法として、現在の株価に対して大幅な割引率で割当増資を任意で行うことです。すでに十分安い株価をさらに2割引で大株主のほか、身内などに増資を行い、これに応じない一般株主の持ち分は稀薄されます。つまり応じるも応じないも損であることに変わりはないことです。

余談ですが、日本の証券会社経由中国株に投資する場合、無償増資の時は、勝手に株券をくれるので

持ち株は勝手に増えますが、有償増資の時、これに勝手に応じる(払い込みする)ことが法律(金融商品取引法)で禁止されていますのでどんなに割引率が大きく、喉から手が出るほどほしくても指を銜えて眺めるしかありません。香港での口座経由投資される場合は

この限りではありません。

HKEX李小加総裁の話の続きです。では、悪い人が悪いことをやろうとしていることが分かっていてもどうして未然に防ぐ対策をせず、事後厳罰に徹しているのかという市場の問いかけに対して、氏は、「粉飾決算やインサイダー取引、市場(株価)操作などに対して世界中の市場監督機関が例外なく厳しく取り締まる行為で、投資家もこれらを最も憎らしい行為だと見て憤慨している。最初から悪い人だとわかっていれば、どの監督機関もこれを取り締まるだろうと思う。しかし残念ながら、監督機関も孫悟空のような眼を持っていない。誰が善人で、誰が妖怪であるかを事前に見破ることはできないのだ。

したがって、悪い人が悪いことをできないようにそれぞれの監督機関が違う監督哲学(理念)を取り入れられている。例えば、ある監督機関はすべての人に悪事をする動機とその可能性があることを前提に、厳しい事前の審査制度を設けて悪いとされる人を市場から排除しようとしている。そしてもう一つの監督哲学は市場のすべての人はルールを守る善人で、市場の正常な取引に参加している人だと仮定し、監督機関はマーケットの自由を干渉せず、途中の監察と事後の責任追及で悪事を働く人を懲罰するというものだ。」

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