返還19年 香港時価総額6.6倍に

イギリスのEU離脱(Brexit)で世界の金融市場に大きな衝撃を与えましたが、意外と早く自律反転(安定を取り戻し)しています。香港市場に対する影響について、香港証券取引所の李小加総裁は、短期的影響についてすでに織り込み済みだが、しかし、長期的にはBrexitには不確定的要素が多く、推移について注意深く見守りたいという考え方を示すとともに、香港市場は世界のマーケットの影響を受けるほか内陸とも密接に関連し、内陸は香港市場安定の礎を築いてくれると、中国経済の影響がより大きいとの認識を示しました。

7月1日は、香港の中国返還19年目に当たります。1997年、香港証券取引所の全上場会社の時価総額は約4兆香港ドルだったのが、昨年末の24兆4200億香港ドル、19年間で6.6倍まで増加し、一日の出来高も当時の約155億ドルから昨年最高の約1050億ドルの6.7倍まで膨らみ、伸び率では先進国市場でもトップを確立しています。

香港の中国返還に伴い、「東方明珠」の凋落と悲観の声が大半を占める中、邱先生はいち早く香港の中国化ではなく、「中国の香港化」を指摘し、香港経由の中国投資のチャンスだと指摘されました。多くの日本人投資家もそのチャンスで不動産や中国株投資を経て財を成していることも知られています。

返還当時、香港市場の出来高の63%は現地投資家(機関投資家と個人投資家)によるもので、海外投資家からの割合は31%に留まっていたということですが、昨年その割合は39%まで上昇し、そのうち内陸からの(投資額の)シェア9%と、10%のイギリス、9%のアメリカと三者鼎立という開放した国際マーケットに成長しています。

返還後、香港は都合3回の金融危機を経験しています。返還の年に、アジアの金融危機、2007年サブプライムローンと翌年の金融危機、そしてその後のユーロ危機と、北京政府のバックアップもあってこれらを乗り越えたと言われています。香港市場での内陸からの投資が9%に迫ったのは、上海香港直接取引の「直通車」によるところが大きいと専門家は指摘します。また昨年に続き、今年上半期のIPOで集めた新規資金の規模が世界一を引き続き維持できたのも、内陸から香港に来て上場する会社が後を絶たないからだと言います。

現に、今年最大規模と言われる中国郵貯銀行、平安証券、招商証券など大型IPOが列を並んでいます。一方、中国社会科学院が年に一度の「中国の都市競争力レポート」を5月末に発表し、香港はこれまで12年間連続の一位を維持しましたが、2015年から以降隣の深センに逆転され、一位の座を奪われています。そういった危機に直面し、香港政庁も対策に打って出ています。

香港の世界的金融センターの地位は一朝一夕でできたものではなく、また簡単に取って代われるものではないと見ています。「お金だけが知っている」、本日の上海・香港直通車経由の買い越し額は約10億香港ドルと引き続き資金が流れています。下半期に入り株式市場も後半戦に入りました。香港市場に影響の大きい中国経済の構造転換やBrexitの影響、人民元為替レートの先行き、「あの会社」や視察団で見てきた現地の最新情報を今週木曜日(7日)の勉強会で詳しくお伝えします。関心のある方はどうぞご参加ください。

 

 

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