透明性の高い市場に

証券法違反の疑いで、中国証券監督管理委員会(CSRC)から行政処分を受けた金融情報サイトを運営する「大智慧」は1日、北京地方裁判所に、行政処分の取り消しを求める行政訴訟を起こしました。CSRCの処分は同社に対する罰金最高額の60万元と関係者14人に対しての3~30万元の罰金及び同社董事長の業界再就職5年間禁止というものでした。

最高額と言っても60万元は上場企業の「大智慧」にとって痛くも痒くもない金額で、それより行政処分に伴う株主訴訟の賠償金が「大智慧」にとってリスクの伴うところです。監督機関に対する行政訴訟が勝訴の可能性はゼロに近いものですが、少しでも行政訴訟(の根拠)を覆すことができれば、株主訴訟の前提となる条件を覆すことになるので、株主訴訟から免れるだろうというのが狙いではないかと見られます。

このように、CSRCは行政訴訟のリスクも辞さない姿勢で透明性の高い市場の運営に取り組んでいるように見えます。CSRCはこれまでの反省もあって、6~7月だけで上場会社に関する規定や規則を新たに発表しています。例えば、6月17日、『上場企業の重大な資産再編に関する管理方法』を発表しました。企業買収(鞍替え上場)を発表しただけで株価が高騰するケースが頻出したことに対して、買収する側の売上高や純利益、純資産、新規発行株数及び業態変更などに対して具体的数値目標を定めたほか、新株発行で調達したセット資金は流動資金に充てたり、債務の返済に流用したりしてはいけないなどと決めています。

この発表の1週間後にすでに事業再編を発表した13社のA株上場企業が再編計画を撤回することが明らかになりました。7月22日、深セン証券取引所は、個別業界に関する監視強化のガイドラインを発表しました。中でも芸能人の「証券化現象」やLED発電、人工ロボット、ヘルスケア、情報セキュリティー、ネット通販に関するディスクロージャーのガイドラインを発表し、続いて、27日、VRやグラフェン、人工知能、PE(Private Equity Fund)と上場企業など、いわゆるホットな話題(概念)を披露する上場会社に対して具体的、完全な情報の公開と企業の今後に対する影響及びリスクなどすべて披露するよう求めています。

7月8日深セン証券取引所は創業版上場の欣体電気(300327)に対してIPO目論見書に不実記載があったとして、強制的に同社を上場廃止にさせるプロセスに入ったと発表しました。同社は不実記載で上場廃止に追い込まれ、なおかつ再上場も認められない不名誉な上場企業の第1号となりました。

中国証券市場での違法コストは低すぎることが以前から指摘されました。不正や粉飾を根絶し、透明性の高い市場が万国共通で投資家に求められています。それに向けてようやく動き出したように見えます。

 

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