銀行株が買われていないわけ

最近株式市場で注目されている会社に「万科企業」があります。株主引いては経営権を巡る争奪戦が白熱化されているからです。(あす17日、万科の臨時株主総会が開催の予定)

不動産市場に関心のある投資家からは、「 不動産バブルと不動産会社の利益と株価の関係についての質問」ということで、1.世茂房地産、2月の不動産販売額は41%増、2.トムソン・グループ、 15年12月本決算は純利益6倍の見通し、3.中国海外発展、2月の不動産販売額は29%増、4.万科置業海外、15年12月本決算は18%増益・・・全体的に不動産業界はふんばっているように感じますが、その割に株価が低迷しているのは全体の市況低迷に引きずられているためでしょうか?どう見ればよいのでしょか?というメールをお寄せいただきました。

非常に熱心に研究されていることに感心するところです。為替レートの不安定と景気後退による市況の低迷が大きな背景にありますが、不動産に限らず、利益を上げていながら株価が上がらないのは銀行株にも言えることです。

今月5日から開かれていた全人代は本日の李克強首相の内外記者会見を持って幕を閉じることになりました。最近話題の「不良債権の株式化」(債転股)について語るかどうか、またはどのように語るかは私も注目しているところです。

格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは今月2日、中国の長期国債の格付け見通しを従来の「安定的」から「ネガティブ」に、翌日の3日、今度は金融機関と国有企業の格付けも「ネガティブ」に変更したとそれぞれ発表した。引下げの理由について、ムーディーズは「中国の財政状況の弱含みと資本流出による外貨準備高の継続的減少」とした上で、信用膨張による銀行のリスクが継続して蓄積されているからだとしています。

中国銀行業監督管理員会のデータによると、昨年末、中国商業銀行の不良債権残高は対前年比で51.2%増の1兆2744億元で、商業銀行の不良債権比率は前年比で0.42%増、第3四半期より0.08%増の1.67%で、10四半期連続上昇の結果となることが明らかになりました。

不良債権の多い順(括弧内は比率)で見てみますと、中国農業銀行1792億元(2.02%)、中国工商銀行1714億元(1.44%)、中国建設銀行1500億元(1.45%)、中国銀行1291億元(1.43%)と、年初よりいずれも上昇していることが分かります。

銀行の不良債権の増加が株式化という窮余の策を生み出したのでしょうか。不良債権の株式への転換は企業業績の回復に繋がるか、また既存株主にどんな影響があると考えられるかを次回考えてみたいと思います。

 

 

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