2016の展望は

2016年の幕開けです。読者の皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

さて、皆様の2015年の実績は如何なものでしたか。そして2016年の見通しは?

7年間も低迷を続けた中国株式市場ですが、2015年には久々の大相場を迎え、A株もH株も7年振りに高騰しましたが、残念ながら線香花火的な相場で終ってしまい、市場にいくつも「不名誉な」記録を残しながら2015年の幕を閉じました。

それにしても、ジェットコースター相場を経験したA株は通年9.4%(昨年比)上昇したのに対して、H株(ハンセン指数)は4月の大相場の際、22.6%上昇した後、A株の大暴落に伴い、最大13.7%下落し、通年では昨年比7.2%のマイナスという結果となりました。市場では、2015年のIPOで融資総額が世界一の香港市場とPER世界一低い評価とのギャップがあまりにも大きいと失望と脱力の声が漏れています。

では、2016年の見通しはどのようなものでしょうか。

今年初の取引となる大発会の日本株は前場で500円以上の安値で取引を終えたことはご存じの通りで、1時間の時差で始まった中国市場は4%(後場では、7%下落で取引停止に)、香港市場は2.42%それぞれ下落して前場を終え、いきなりマイナスのスタートとなりました。

マイナススタートの理由について、昨年末のNYダウは2.2%下落の流れをそのまま受け継いだほか、①米㌦に対して400bpの元安、②譲渡制限付き株式、34社、92億6800株、時価総額は950億元の売買解禁を迎えること、③財新PMIが予想の48.9を下回って48.2で、10か月連続栄枯線の50に届かず、製造業の先行きに対して依然懸念が抱えられていること、などが挙げられています。

しかし、2015年を振り返り、中国金融市場にこんなことが起きていました。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立

昨年12月25日、創設メンバーと資本金の着金など設立規約に達したため、正式に設立され、今月16日から18日にかけて設立大会と初回理事会と役員会が開かれることになっています。

人民元のSDR構成通貨採用昨年11月のIMF理事会投票で、SDRの構成通貨に人民元を5番目の構成通貨に採用することが決まり、元の国際通貨入りという念願がかなった瞬間でした。

外為バスケット制採用へFRBの利上げ決定に先立ち、12月11日中国人民銀行と外為取引センターは元の為替をバスケット制にすると発表しました。元の為替変動、とりわけ対米㌦の変動について、為替操作の批判などが起きていましたが、バスケット制にすると、13種類の通貨との為替を加重平均にして当日の為替仲値が決定されますので、為替操作疑念を交わすとともに、米利上げによる元安を先読みして対策を立てていることにしています。

国内に目を向けると、中国は依然経済活動が最も活発な地域で、GDPの伸びが6.5%でも、世界では類を見ない活力ある経済体で、中央集権的体制で持続的競争力を今後も維持できること、一人当たり生産性はまだ米国の5分の1、日本の4分の1などとも言われ、潜在的成長の可能性に秘めていること、インターネット+のお蔭で、様々なネット企業が誕生し、役所、金融機関も効率が大幅に高められていること、物流ネットワークが近年急速に普及し、国内のみならず国際物流も日単位で流れるようになったこと、構造転換で量から質へと、供給者側改革が打ち出され、質的変化が期待されること、2016年はこうした変化のプロセスにあり、今まで以上の高速な成長は期待できませんが、より品質のある成長の年となることでしょう。

そして何より株式市場においては、深セン・香港直接取引が今年前半にも実現し、VCや小型株に関心のある個人投資家の香港株への参入も期待されます。皆様も実りのある年となるよう祈願しております。

 

<2016年新春勉強会のお知らせ>

1月14日、東京にて中国株に関する勉強会を行います。2016年の市場展望についてスピーチを行います。参加者募集中です。関心のある方はお問い合わせください

 

 

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