半年で株価が2.5倍になったら 心動公司コラム公開

 経済学的に実業と虚業を線引きすることは難しいですが、結果的に経済的効果を生み出すことでは、すべての経済活動が実業になりますが、しかし一般的には「モノづくり」が実業で、「モノづくり」以外では「虚業」だということが「世の常識」のようです。汗水垂らして儲けたお金は清きモノで、虚業での儲けは尊敬できないという風潮は未だ昭和生まれにあるようです。しかし、「虚業」でも半年で株価が2.5倍以上も上昇したら「心が動く」のでしょうか。
 「徐さんの中国株」コラムでは昨年の8月10日に「同業者も認めるゲーム会社」として「心動公司」(2400)を取り上げました。今日はその内容の一部を公開します。

 上海に本拠を置く心動公司ですが、2015年11月4日、ハイテク企業が集積する北京市の中関村科学技術パークの企業が取引されている中国の店頭市場とも言われる「新三板」市場に株式を公開しましたが、およそ3年後の2018年9月に自ら公開中止を選んで「退場」した経験があります。経営の現状と長期計画に基づいたものとの理由でしたが、香港市場に上場するのではと噂されていました。そのおよそ9カ月後に、香港証券取引所にIPOの申請を提出し、2019年12月12日に香港メインボードに株式を公開しました。
 目論見書によると、同社開発、運営中のオンラインゲームは40タイトルに上り、その内11タイトルが課金ゲームで「仙境伝説M」は日本をはじめ、北米や南米、豪州でも発売されていると言います。
 上場までの3年間(2016~18年)の売上高は7億6550万元、13億4440万元、18億8710万元で、純利益は2340万元、1億2000万元、3億5340万元となっています。また同じ時期のMAU(月間アクティブユーザー数)は1900万人、3600万人、8800万人と順調に増えていると言います。
 同社はオンラインゲームの自社開発と配信が主力事業ですが、中国最大のゲームコミュニティで、ゲーム専用のアプリストアでもある「TapTap」も運営していることが同業他社との違いです。この「TapTap」には、ユーザーからの評価システムもついているので、ゲーム開発会社が自社のゲームに評価してもらうためにも同プラットフォームに自社開発商品を積極的にリリースしていると言います。
 2019年の本決算によると、オンラインゲームの売上高は前年比50.2%増の23億7600万元で、全社売上高の83.8%を占め、その他情報サービスの売上高は55.9%増の4億6千万元で、その他情報サービスに含まれる「TapTap」プラットフォームが利益に貢献し始めていることが伺えます。
 この評価システムもあってのことか、現在米中対立の火種にも挙げられている短編動画アプリの「抖音(TikTok)」を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)やIGG、三七互娯、遊族網絡などゲーム関連企業が戦略投資家(大株主)として迎え入れられています。
 しかし、2019年12月の上場から指数構成銘柄に組み入れられるまでわずか8カ月で、株価は公募価格の11.1HKDから4倍以上の47.90HKDまで急騰しています。(了)
 4倍以上に上がった株価がコラムで取り上げた昨年8月の時点からいったん下がったものの、その後は急騰し、16日現在約2.5倍の114.5HKDを記録しました。

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